米キャタピラー、関税コスト見通しを再び引き上げ、25年通期で最大18億ドルに

複数の米国メディアは8月28日、米キャタピラー(Caterpillar Inc.)が2025年通期の関税関連コスト見通しを15億~18億ドルに上方修正したと報じた。第3四半期(7~9月)の負担は従来予想より1億ドル増加し、5億~6億ドルに達する見込み。

同社は8月5日の第2四半期決算発表時点では、通期で13億~15億ドル、第3四半期で4億~5億ドルの影響を想定していた。しかし、その後の追加関税措置を受け、米証券取引委員会(SEC)への報告で予測を引き上げた。中央値ベースでは数週間前より2億5,000万ドル増加する。

キャタピラーは「影響緩和のため初期的な対策を講じているが、通商交渉や関税の動向は依然として流動的だ」と説明。ジョー・クリード(Joe Creed)CEOは、短期的な裁量経費の削減や複数サプライヤーからの調達、米墨加協定(USMCA)対応製品の認証などを進めているとしつつ、「値上げをテコにする前に、他の緩和策を最大限試みたい」と述べた。

関税コストの影響は建設機械部門が55%、資源機械部門が20%、エネルギー&輸送部門が25%を負担する見込み。同社は2024年に約650億ドルを売り上げたが、従業員約11万3,000人のうち半数近い5万1,000人が米国内勤務で、影響を受けやすい体制となっている。

他の製造業大手でも同様の動きがあり、フォードは2025年の関税コスト見通しを20億ドルに引き上げ、ディアは農機部門で人員削減を発表。英JCBは完成機への関税を「懲罰的」と強く批判している。さらに、米エンデバーB2Bの調査では、企業の約半数が「関税で運営コストが10%以上上昇した」と回答しており、産業界全体で負担増が広がっている。

SEC報告後、キャタピラーの株価(CAT)は約3%下落して423ドル前後となったが、過去6カ月では20%超上昇しており、時価総額は約2,000億ドルに拡大している。

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