神戸製鋼所(KOBELCO)は8月29日、イタリアのエンジニアリング大手サイペム(SAIPEM)から、アンゴラ沖で建設が進む浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)向けに、マイクロチャネル熱交換器「DCHE(Diffusion-bonded Compact Heat Exchanger)」を受注したと発表した。
今回の案件は、仏トタルエナジーズ子会社TOTAL E&P Angolaが計画する「カミーニョFPSO」に採用されるもの。同設備はサイペムが設計・調達・建設を担い、2028年の稼働開始を予定している。温室効果ガス排出を最小限に抑える電動システムを採用し、排出ガスを大気に放出せず油層に再圧入する環境配慮型FPSOとなる。
神戸製鋼のDCHEは、微細流路を拡散接合で形成することで、従来型の熱交換器に比べコンパクト性と高耐圧性を両立。特に100MPaの高圧に対応できる点が評価され、FPSOの大型プロセス設備向けに採用が決まった。納入は2025年内を予定している。
同社は「つくる」「ためる」領域を含むエネルギーサプライチェーンでの熱交換器需要を拡大中で、今回のFPSO案件を足掛かりに洋上設備向け展開を加速する考え。水素ステーション用途で培った技術を新分野に広げる取り組みの一環であり、中期経営計画で掲げる変革プログラム「KOBELCO-X」にも位置付けられる。
神戸製鋼では、既存の熱交換器事業の深化と新規分野開拓を並行して進め、グローバル市場での存在感を高める方針。
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