ドイツ機械工業連盟(VDMA)会長、政府に労働市場政策の抜本改革を要求

・失業者300万人突破で「現実逃避許されず」と強く批判

ドイツ機械工業連盟(VDMA)のティロ・ブロートマン(Thilo Brodtmann)会長は8月29日、8月の失業者数が300万人を突破したことを受け、政府に対し労働市場政策の根本的な見直しを求める異例の強い声明を発表した。

ブロートマン会長は「この数字は政治への明確な警鐘だ」と危機感を表明。「ドイツの労働市場政策は抜本的転換が急務である。過度な規制とコスト負担が企業の雇用意欲を削いでいる現状を直視すべきだ」と政府の姿勢を厳しく批判した。

■機械業界、人材確保に深刻な懸念

機械製造業界では、景気低迷が続く中でも人口減少・高齢化の影響で深刻な人材不足に直面している。同会長は「硬直的な労働法制と高コスト体質が、必要な人材確保の障害となっている」と指摘し、規制緩和と社会保障費削減の必要性を強調した。

特に問題視されているのは、DGB(ドイツ労働組合連合会)のヤスミン・ファヒミ(Yasmin Fahimi)議長が示した給付削減反対の姿勢だ。ブロートマン会長は「労働市場の現実を無視した発言は極めて遺憾」として、「現実逃避は許されない」と労組側の姿勢を痛烈に批判した。

■業界全体で改革圧力高まる

VDMA加盟企業からは、現行の労働市場制度では国際競争力の維持が困難との声が相次いでいる。今回の声明は、機械工業界全体が政府に対し具体的な改革行動を求める強いメッセージと受け取られており、他業界への波及効果も注目される。

政府は来月の労働政策協議会で、業界からの要望を踏まえた対応策の検討に入る方針を示している。

■ドイツ機械工業連盟(VDMA):欧州最大の機械工業団体

  • 加盟企業数:3,600社以上
  • 従業員数:約135万人(ドイツ国内)
  • 年間売上高:約2,500億ユーロ(2024年)

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