エピロック(Epiroc AB) :2025年8月29日
8月29日 スウェーデンのエピロック(Epiroc AB)は、インドの大手非鉄金属メーカー、ヒンドゥスタン・ジンク(Hindustan Zinc Limited、Vedanta Group傘下)と戦略的提携を結び、同社の地下鉱山にデジタル式衝突防止システム(Collision Avoidance System)を導入すると発表した。作業現場の安全性を大幅に高める取り組みとなる。
協定覚書に基づき、エピロックはヒンドゥスタン・ジンクがラジャスタン州に保有する5カ所の地下鉱山に順次システムを導入する。第一段階では世界有数の銀生産鉱山であるシンデサル・クールド鉱山から開始し、低床ダンプトラック30台と作業員100人に対応した運用を進める。
この衝突防止システムはメーカーを問わずあらゆる車両に搭載可能で、センサーによる知能的検知、リアルタイム警告、自律制御を組み合わせることで事故リスクを事前に低減する。
エピロック社長兼CEOのヘレナ・ヘドブロム氏は「今回の協業は鉱山安全技術の大きな前進だ。適応性と拡張性を備えた本システムは作業員の安全を守ると同時に操業のレジリエンスを高め、世界の地下採掘における新たな安全基準を打ち立てる」とコメントした。
一方、ヒンドゥスタン・ジンクCEO兼取締役のアルン・ミスラ氏は「亜鉛や鉛、銀といった戦略金属は脱炭素社会や先端技術に不可欠だ。当社は世界最大の統合亜鉛メーカーとして、デジタル技術による安全性向上と生産性強化を両立させる。本システムの導入は、知能的安全ソリューションのさらなる展開を支えるものだ」と述べた。
エピロックは掘削機、岩盤掘削機、建設機械をはじめ、デジタル化、オートメーション、電動化ソリューションを世界150カ国以上に展開するグローバル企業。2024年の売上高は約640億スウェーデンクローナ(SEK)、従業員は約1万9,000人を擁する。
ヒンドゥスタン・ジンクは世界最大の統合亜鉛メーカーであり、銀の生産量でも世界上位5社に入る。インド国内の一次亜鉛市場で約77%のシェアを持ち、2025年には国際鉱業・金属協議会(ICMM)にインド企業として初めて加盟した。環境・CSR面でも高い評価を受けており、2050年までにネットゼロ達成を目標に掲げている。
■会社概要
<エピロック(Epiroc AB)>
本社:スウェーデン・ストックホルム
事業内容:鉱山・インフラ向け機械(掘削機、岩盤掘削機、建設機械)、工具、アフターサービス、デジタル・自動化・電動化ソリューションの提供
売上高:約640億SEK(2024年)
従業員:約1万9,000人
展開地域:世界約150カ国
<ヒンドゥスタン・ジンク>(Hindustan Zinc Limited)】
本社:インド・ウダイプル(ラジャスタン州)
親会社:ヴェダンタ・グループ(Vedanta Group)
事業内容:世界最大の統合亜鉛生産、鉛・銀の採掘・精錬。インド国内シェア約77%。
特徴:ICMM加盟(インド初)、アジア初の低炭素「グリーン亜鉛」ブランド「EcoZen」展開。CSR活動でも国内有数。
従業員数:約2万人
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