三一重工、株式回収を加速、信頼と成長の力強いシグナル

 三一 (SANY ):2025年8月23日

 中国大手建機メーカー・三一重工(600031)は8月23日、株式回収(自社株買い)の進展状況を発表した。2025年7月末までに、総額13.55億元(約271億円、20円換算)を投じ、累計7267.92万株を回収。これは発行済み株式総数の0.86%にあたる。

■回収の背景と目的
 この株式回収は、同社が今年4月3日に可決した「集中競価取引方式による株式回収案」に沿ったもの。計画では、総額10億元以上20億元以下を上限とし、1株あたり最大29.1元で買い取る方針を定めていた。回収株式は、従業員持株制度に活用される予定で、従業員のモチベーション向上と企業の長期的な競争力強化を狙う。

■背景にある業界回復
 同社の積極的な株式回収の背後には、建設機械業界の回復基調がある。2025年上半期、中国国内主要メーカーによる油圧ショベル販売台数は12万520台と、前年同期比16.8%の大幅増となった。特に国内販売が22.9%増、輸出も10.2%増と、内需・外需ともに改善が見られる。
市場関係者の間では、建機業界は新たな成長サイクルの立ち上がりにあるとされ、国内外市場が同時に好転しているとの見方が広がっている。

■証券会社の見解と将来展望
 東呉証券は分析レポートで、設備更新サイクルの到来、政策支援、需要回復といった複数の要因が重なり、市場回復が想定以上の速さで進んでいると指摘。三一重工は国内で最も高いショベル市場シェアを誇るメーカーであり、この回復局面の最大の受益者になると予想している。
さらに、中長期的には同社はグローバル展開、電動化・知能化(スマート化)分野への投資に積極的で、今後の香港上場も控えていることから、コスト競争力を武器に世界トップメーカーへ躍進する可能性が高いとみられる。

■2025年上半期決算
 8月22日発表の2025年半期報告によれば、同社の営業収益は445.34億元で前年同期比14.96%増加。株主帰属純利益は52.16億元と、46.0%の大幅増益となった。海外販売の伸長やコスト削減努力が奏功し、利益率も回復。純利益率は11.65%と、前年同期から2.50ポイント改善した。

■まとめ
 三一重工の積極的な自社株買いは、経営の将来に対する自信の表れであると同時に、業界全体の復調を映し出す動きともいえる。堅調な決算と市場環境の追い風を背景に、同社が国内外でさらなる成長ステージへ進む可能性は高まっている。

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