竹中工務店など、業界初の自律移動システムを開発、建設現場にロボット革命が到来 

・2027年実用化を目指す次世代建設技術が誕生

 竹中工務店NTTドコモビジネスアスラテックの3社は8月25日、共同で、建設現場における画期的なロボット運用システムを開発したと発表した。「ロボットナビゲーションシステム」と名付けられたこの技術は、空間IDを活用してロボットの自律移動を実現する業界初の取り組みとして注目を集めている。

■空間IDが切り拓く建設現場の未来

 この革新的なシステムの核心にあるのは、空間IDと呼ばれる3次元位置情報技術だ。従来の建設現場では、ロボットの運用に人的な監視や操作が必要であったが、本システムはNTTドコモビジネスが展開する「tateras作業間調整」サービスと空間IDを組み合わせることで、ロボットの完全自律移動を可能にした。

 これにより、巡回ロボットなどの高精度なルート設定が実現し、現場監督や作業員の負担を大幅に軽減できる。複雑な建設現場においても、ロボットが自ら最適な経路を判断して移動することで、効率的な作業支援が期待される。

■労働力不足解消への切り札

 日本の建設業界が直面する深刻な労働力不足に対する解決策として、このシステムの意義は大きい。ロボット運用にかかる手間とコストの削減により、限られた人材をより付加価値の高い業務に集中させることが可能になる。

 生産性の向上も大きな効果として期待される。自律移動するロボットが24時間体制で現場の監視や点検を行うことで、人的ミスの削減や作業の標準化が図れる。これは建設業界全体のデジタル化推進にも大きく貢献するものと考えられる。

■国家プロジェクトが後押し

 この技術開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務として実施されており、国を挙げての建設業界のイノベーション推進の一環として位置づけられている。これは単なる企業の技術開発を超えて、日本の建設業界全体の競争力向上を目指す国家戦略的な取り組みといえるだろう。

■2027年実用化で業界に変革をもたらす

 竹中工務店を中心とする開発チームは、2027年の実用化を目標に据えている。これが実現すれば、建設現場における作業の自動化が大きく前進し、業界全体の働き方改革にも寄与することが期待される。

 建設現場でのロボット活用は世界的なトレンドでもあり、この日本発の技術が国際競争力の源泉となる可能性も秘めている。空間IDという先進的な位置情報技術を活用した自律移動システムは、建設業界における日本のテクノロジーリーダーシップを示す象徴的な成果となりそうだ。

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