・海外展開と技術革新が奏効、純利益は8.78%増
山推工程機械股份有限公司は8月23日、2025年上期決算を発表し、売上高が前年同期比3.0%増の70億357万元、親会社株主に帰属する純利益が同8.8%増の5億6,829万元となったことを明らかにした。非経常損益を除いた純利益は5億5,880万元と同36.5%の大幅増を記録した。建設機械業界が徐々に回復する中、同社は海外事業の強化と技術革新により業績を押し上げた。海外事業の売上高は3億9,021万元と前年同期比7.7%増加し、全体の収益拡大に寄与した。(1元は、約20円)
■海外展開を戦略の中核に位置づけ
同社は輸出事業を全社戦略の重点と位置づけ、上期中に4つの海外子会社の設立に着手するなど現地化の展開を加速した。重点地域でのディーラーネットワーク拡大により市場カバレッジを効果的に向上させ、従来のブルドーザー単体販売から掘削機、ローダーを含むフルレンジ製品販売への転換を推進した。ドイツBMW展示会やオーストラリアDDT展示会などの主要展示会に最新製品を出展し、統合ソリューションを世界の顧客に示すことで、グローバルブランドの影響力を大幅に高めた。
■国内事業は鉱山分野で大幅成長
国内事業では重点製品、重点市場、重点顧客への注力を強化した。特に鉱山分野では中核顧客との連携を深め、高馬力鉱山機械の現地化を推進。市場全体が縮小する中でも鉱山製品の販売が大幅に増加し、関連製品の売上高・利益ともに前年同期を大幅に上回った。販売・リースモデルの革新により、上期は160台以上の営業リース契約を達成。重点顧客部門の設立により顧客構造を最適化し、複数の新規重点顧客を獲得した。
■世界初のAIブルドーザーを発売
技術革新面では、世界初のAIブルドーザーを発売し、AI応用の5段階を定義、顧客ニーズに合わせた9つのインテリジェントシステムを開発した。業界初の「スマートデバイス」から「AIエンティティ」への質的転換を実現した。ハイエンド製品の開発も継続し、世界最高馬力のハイブリッドブルドーザーDEH100がラインオフした。SE1500掘削機は4,000時間、SE2000掘削機は1,300時間の市場テスト運転を完了するなど、製品検証能力の強化により信頼性の高い製品開発を推進している。
■コスト管理で目標を上回る成果
「すべてのコストは管理可能」という理念の下、サプライチェーンの全面開放と調達範囲の拡大により、上期のコスト削減目標達成率は103%に達した。「リストを公開し、リードする」プロジェクトの継続推進により、全従業員のコスト意識向上と製品競争力強化を図った。デジタル変革も進展し、研究開発・製造分野で3つのシステムを立ち上げ、21のデジタルプロジェクトを本格推進した。テストセンターの設立により研究開発品質検証を強化し、製品品質の向上に取り組んでいる。
深圳証券取引所検索ページ(コード:000680)
【企業概要】(ホームページより)
■70年超の歴史を持つ建機大手
山推工程機械股份有限公司は1952年設立の煙台機械工場を前身とする中国有数の建設機械メーカーで、現在は山東重工集団傘下の国有株式制上場企業として事業を展開している。1997年に深圳証券取引所に上場(銘柄コード:000680)し、本社を山東省済寧市に置く。
■3工場統合で総合建機メーカーに発展
同社の歴史は1952年の煙台機械工場設立に遡る。1966年に済寧市への移転を機に済寧機械工場に改名し、1980年には済寧機械工場、済寧通用機械工場、済寧動力機械工場の3社が統合し山東ブルドーザー総工場を設立した。1993年に現在の山推工程機械股份有限公司として法人格を整備し、株式会社化を実現した。
国内では総面積1,000ムー(約67ヘクタール)を超える敷地に6つの生産基地を展開し、建設機械本体および部品製造用の11本の生産ラインを稼働させている。2024年時点での年間総生産能力は128万台を超え、ブルドーザー、掘削機(油圧ショベル)、ローダー、道路機械、鉱山ダンプトラック、コンクリート設備、各種部品を製造している。
■製品ラインナップは5大カテゴリーに拡大
主力製品はブルドーザーシリーズを中心に、道路機械、コンクリート機械、ローダー、掘削機の5大シリーズで構成される。シャーシ部品、伝動部品、構造部品などの建設機械用部品事業も手がけ、顧客ニーズに応じた総合的なソリューションを提供している。
製品品質は世界的に高く評価され、グローバル建設機械メーカー50強、中国製造業500強にランクインしている。国内外で確立した販売・サービス網により、製品は海外160以上の国・地域に輸出されている。
■国内外で充実の販売・サービス網
国内では全国を18地域に分割し、150のディーラーと464の販売拠点を展開している。海外事業ではグローバル市場を9地域に区分し、10の海外子会社のもと155の代理店と527の販売拠点を構築している。
サービス面では「顧客の個別ニーズに最も関心を持つ企業」を目標に掲げ、統合ソリューションの提供と人間性・知能化を重視した高品質サービスにより顧客満足度を向上させ、ブランド価値の向上を図っている。
■5G活用など先端技術で業界をリード
近年は科学技術革新による持続可能な発展を推進し、遠隔操作、スマートネットワーク、新エネルギー、大馬力製品などの研究開発に注力している。2019年には世界初の5G遠隔操作大馬力ブルドーザーの商用化に成功し、5G技術応用とスマート製造レベルをさらに向上させた。
大馬力ブルドーザーSD90の顧客納入により、国内大馬力ブルドーザーの技術空白を埋め、大馬力機械の国産化基盤を構築した。デジタル変革も段階的な成果を上げ、5Gネットワークで構築したスマート工場の成熟化が進んでいる。独自設計のスマート生産ラインと組立検査設備も生産現場に投入済みだ。
同社は今後もブルドーザー、道路機械、ローダー、掘削機、コンクリート機械の各分野で国際一流ブランドの確立を目指し、新エネルギー・知能装備分野の先導企業として、コア技術を有する建設機械メーカーへの発展を図る方針。
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