ロンドン=2025年8月21日、三菱重工グループのプライメタルズ テクノロジーズ(本社:英国ロンドン)は、中国の鉄鋼メーカー・山東中信(Shandong Zhongxin)向けに、連続酸洗タンデム冷間圧延機(PLTCM)を受注したと発表した。稼働開始は2027年初頭を予定している。新ラインには高度な自動化・デジタル技術、省エネ設備が導入されることで、生産性向上と高品質鋼材の供給体制強化を図る。
■家電・自動車分野向け高付加価値鋼材を狙う
山東中信は2025年に設立された新興の鉄鋼メーカーで、山東省臨沂市の工場に今回のPLTCMを導入する。同社はこの投資によって、自動車や家電など高付加価値分野への本格参入を目指す。中国東部地域は国内最大規模の鉄鋼生産エリアであり、旺盛な需要を取り込む戦略だ。
■省エネ型酸洗システムと高性能圧延機を採用 新ラインには、省エネ性と効率性に優れた「iBox酸洗システム」が採用される。このシステムでは従来必要だった循環ポンプが不要となり、処理能力とエネルギー効率が向上する。また、5スタンド6ハイのユニバーサルクラウンコントロールミル(UCM)を搭載し、精緻な板厚制御と優れた形状品質を実現。高い生産性と安定した製品供給を可能にする。
■AIと自動化による運転効率化
今回のラインには、AIを活用したプロセス最適化や高度な自動化システムが導入される。中央監視システム「セントラルオペレーションコックピット(COC)」やコンピュータビジョン技術を用いることで、少人数で複数工程を一括監視でき、操業効率を向上させる。さらに「スループロセスクオリティコントロール(TPQC)」が品質データを一元管理し、長期的な製品改良にもつなげられる。
■プライメタルズの戦略的ポジション
プライメタルズ テクノロジーズは、鉄鋼業界におけるエンジニアリングとプラント建設で世界的に高いシェアを持つ。同社は電機、オートメーション、環境対応技術まで含めた統合的ソリューションを展開しており、今回の受注は中国市場におけるデジタル化・省エネ対応型製鉄設備需要の拡大を裏付けるものとみられる。
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