日本電気(NEC)、AI活用で障害物が多い現場でも自律走行を実現するロボット制御技術を開発

 日本電気(NEC)は8月21日、AIを活用して障害物が多い環境下でもロボットの安全で効率的な自律走行を実現する制御技術を開発したと発表した。社内実証実験では、従来手法に比べロボットの移動時間を最大50%短縮できることを確認した。

 今回開発した技術は、複数のAIの知見をまとめて学習させたNEC独自のAIにより、安全性を考慮しつつ最適な移動経路をリアルタイムで生成する仕組み。専用区画の整備が難しい中小規模の物流倉庫や工場、小売店舗などでもロボット導入を可能にし、人手不足解消や生産性向上に寄与するとしている。NECは2026年度中の実用化を目指す。

 近年、大規模な物流倉庫や工場では自動化が進む一方、スペース制約や通路の狭さ、荷物や棚が障害物となる中小規模施設ではロボット導入が進みにくい課題があった。また、従来のロボット制御技術では「経路生成の速さ」と「経路の質」がトレードオフの関係にあり、障害物が多い現場での実用性が低いとされていた。

 NECの新技術はこれらの課題を克服するもので、特徴は次の通り。
1. 独自AIによるリアルタイム経路生成
複数AIの経路生成結果を学習させ、一度に複数の経路を生成可能とする仕組みを構築。障害物が不規則に配置された環境でも、安全かつ効率的な移動を実現する。
2. 移動時間を最大50%短縮
50メートルのテストコースで障害物をランダムに配置したシミュレーションでは、従来比で走行時間を半減。安全性を確保しながら効率を約2倍向上させる効果が確認された。

 NECは、今後も労働力不足や現場効率化のニーズに対応するため、ロボット制御分野での技術開発を加速させる方針だ。

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