新菱冷熱工業、シンガポール地下鉄の空調・換気工事を約490億円で受注

 新菱冷熱工業(東京都新宿区)は8月21日、シンガポール陸上交通庁(Land Transport Authority)から、地下鉄「クロスアイランド線第1期およびポンゴル延伸区間」における駅舎空調工事とトンネル換気工事を約490億円(4億3,680万シンガポールドル)で受注したと発表した。

 クロスアイランド線は、シンガポールで8路線目となる地下鉄で、3期に分けて建設が進められている。今回の対象工事は、2030年完成予定の北東部からブライトヒル駅までの12駅(全長29km)と、2032年完成予定のパーシル・リス駅からポンゴル駅までの4駅(全長7.3km)。全線完成後は総延長50kmを超えるシンガポール最長の地下鉄路線となり、8つの乗換駅を介して既存路線と接続する。開通後の1日あたりの乗客数は、初期段階で60万人超、将来的には100万人以上と見込まれている。

 今回の受注工事では、省エネと安全性を両立する技術が採用される。駅舎では、車両からの排熱がプラットフォームに侵入しないようスクリーンドアを設置し、空調機の負荷を軽減して省エネルギーを実現。トンネル内では、通常時には電車走行による自然換気を活用し、ラッシュ時や火災時には大型換気ファンとダンパーの組み合わせで風向きを切り替える仕組みを導入する。

 同社は1983年にシンガポールで営業を開始し、1987年には南北線・東西線の空調・換気工事を受注して以来、北東線、環状線、トムソンイーストコースト線など主要地下鉄プロジェクトに継続的に参画。現在では、同国の全地下鉄駅の約7割に技術を提供している。

 新菱冷熱工業は「長年培った経験を基に、2032年の完成に向けて安全かつ確実に工事を進める」としている。

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