ジョンディア、高付加価値作物向けイノベーション加速へ米リザボアと提携

 Deere & Company (ディア社):2025年8月19日

 米ジョンディア(John Deere)は8月19日、カリフォルニア州を拠点とする農業テクノロジー・インキュベータ「リザボア(Reservoir)」と戦略的提携を開始すると発表した。高付加価値作物(HVC)の栽培分野において、新技術の開発と普及を加速させる。

 同提携により、ジョンディアの先進的な農業機械技術や農家との強固な関係性と、リザボアが持つスタートアップ支援、実証試験プラットフォーム、商業化サポートを融合。労働力不足や効率性向上、持続可能性といった課題解決を通じて、生産者が限られた資源で最大の成果を上げられる体制を整える。

 ジョンディアの事業統合マネージャー、ショーン・サンドバーグ氏は「高付加価値作物は農業成長の重要分野であり、革新が求められる領域だ。リザボアとの協業は、次世代技術を現場で検証し、生産者にとって実用的で拡張性のあるソリューションを共に構築する機会となる」と述べた。

 今回の合意により、ジョンディアはリザボアの独占的な農業機械メーカー(OEM)パートナーとなり、カリフォルニア州サリナスの拠点を含む施設においてブランド展開が可能となる。さらに、スタートアップ企業への早期アクセスや共同研究開発、実証イベントを通じた技術デモンストレーションの機会も確保する。

 西部生産者団体(Western Growers)のイノベーション担当上級副社長、ウォルト・ダフロック氏は「労働力不足に直面する中で、ジョンディアのリザボア投資は重要な戦略的一歩だ。カリフォルニアの農業テック分野の発展に大きく寄与するだろう」と強調した。

 今回の連携は、ジョンディアが推進する次世代農業エコシステム構築の取り組みと、リザボアが持つスタートアップ・農家・技術者を結ぶ現場主導型R&D基盤を結び付けるもの。精密農業や自動化技術に強みを持つジョンディアと、農場での実証力を持つリザボアの協力により、HVC分野の最重要課題に対応する新ソリューションの開発・普及を加速させる。

 リザボアは2024年に設立され、スタートアップや農家、技術者を結び付け、高付加価値作物の実証試験とソリューション開発を推進してきた。CEOのダニー・バーンスタイン氏は「カリフォルニア農業の持続可能性と革新加速に注力しており、ジョンディアの技術と農家支援の姿勢が基盤を強化する」と述べた。

 なお、ジョンディアは今後10年間で米国内製造に200億ドル超を投資する計画を掲げており、今回の取り組みもその一環。サリナス渓谷など主要農業地域での協業を通じ、米国および世界の食料生産効率向上と雇用創出、農業技術分野でのリーダーシップ強化を目指す。

<Reservoir概要>
 リザボアは、農業現場に直結したスタートアップ支援とベンチャー投資を行うインキュベータ。世界初の「農場内ロボティクス・インキュベータ」としてカリフォルニア州サリナス渓谷に拠点を置き、今後セントラルバレーなど他地域にも展開予定。現場R&D、農家のフィードバック、シード段階の資金支援を組み合わせ、高付加価値作物の課題解決に取り組んでいる。

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