IHI、25年4~6月決算は減収減益、円高と大型案件反動で売上収益3,377億円

・受注高は大幅増も営業利益は208億円と29億円減

 IHIは8月6日、2026年3月期第1四半期(25年4〜6月)決算を発表した。売上収益は前年同期比3.0%減の3,377億円、営業利益は同12.3%減の208億円となり、減収減益となった。親会社所有者帰属四半期利益は同37.6%減の116億円だった。基本的1株当たり四半期利益は76円64銭(前年同期122円77銭)となった。

■業績概況:円高影響と前年反動が響く
 売上収益の減少要因として、民間向け航空エンジンでのスペアパーツ販売は堅調に拡大したものの、為替円高の影響(売上平均レート145.56円、前年同期157.79円)や中核事業における前年同期の大型工事進捗の反動が大きく響いた。
 一方で受注高は前年同期比29.1%増の4,243億円と大幅に増加。カーボンソリューション、民間エンジン事業、防衛事業を中心に旺盛な需要を取り込んだ。
 営業利益の減少は、民間向け航空エンジンが堅調だった一方で、人件費など販管費の増加(前年同期比約44億円増)が影響した。

■セグメント別業績:航空・宇宙・防衛が好調

航空・宇宙・防衛: 受注高1,370億円(前年同期比36.0%増)、売上収益1,279億円(同27.8%増)、営業利益279億円(同17.2%増)。民間エンジンのスペアパーツ販売と防衛事業が堅調に拡大し、唯一増収増益を達成した。

資源・エネルギー・環境: 受注高1,431億円(同131.6%増)と大幅増加したが、売上収益709億円(同28.6%減)、営業損失33億円(前年同期は6億円の利益)。前年同期大型案件の反動や原子力案件の原価先行算入が影響した。

産業システム・汎用機械: 受注高1,127億円(同7.0%減)、売上収益1,046億円(同5.2%減)、営業利益3億円(同45.4%減)。前年案件の反動や事業譲渡の影響により減収となったが、車両過給機事業の収益性改善により営業利益は前年並みを確保。

社会基盤: 受注高224億円(同42.0%減)、売上収益291億円(同8.5%減)、営業損失17億円(前年同期は6億円の損失)。前年同期大型案件の反動により減収減益となった。

■通期予想:据え置きも不透明要因に注意
 2026年3月期通期の連結業績予想は、前回発表(5月8日)から変更なし。売上収益1兆6,500億円(前期比1.4%増)、営業利益1,500億円(同4.5%増)、税引前利益1,350億円(同2.5%減)、親会社所有者帰属当期利益1,200億円(同6.4%増)、基本的1株当たり当期利益112円85銭を維持した。
 同社は「米国関税影響や不透明な世界経済の動向を踏まえ、前回見通しを据え置き」と説明。米国の通商政策による不透明感やサプライチェーンの混乱、価格転嫁に伴う物価高騰などの景気下振れリスクに注意が必要としている。

■事業構造改革を推進
 同社は事業ポートフォリオの最適化を継続。第1四半期にはIHI汎用ボイラとIHIアグリテックの芝草・芝生管理機器事業の譲渡を完了した。8月6日には新潟トランシス(12月譲渡予定)と明星電気(2026年2月譲渡予定)の株式譲渡も決議し、中核事業の効率化を進めている。
 なお、同社は10月1日付で普通株式1株につき7株の割合で株式分割を実施する。

 詳細確認は、下記参照。

 IHIの2026年3月期第1四半期決算短信

 第1四半期決算説明資料