澁谷工業、過去最高売上を更新、薬品・化粧品用プラントが好調

 パッケージング機械大手の澁谷工業は8月13日、2025年6月期の連結決算を発表した。売上高は前期比11.8%増の1,290億17百万円と過去最高を更新した。営業利益は2.7%増の137億49百万円、経常利益は1.6%増の137億73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2.8%増の100億52百万円といずれも過去最高を達成した。1株当たり当期純利益(EPS)は363円34銭(前期353円54銭)となった。

■全体業績は増収微増益
 同社の2025年6月期は、インバウンド需要の増加や個人消費・設備投資の持ち直しにより緩やかな景気回復が見られた一方、人手不足による人件費上昇や原材料価格・エネルギーコストの高騰が業績に影響した。売上高は大幅に増加したものの、メカトロシステム事業が増収減益となったため、利益面では微増に留まった。

■セグメント別業績
 パッケージングプラント事業が大幅増収増益を達成した。売上高は前期比21.3%増の800億81百万円、営業利益は16.1%増の125億74百万円となった。食品用プラントでは調味料用充填ラインが減少したものの、国内・海外向け飲料用無菌充填ラインが増加。薬品・化粧品用プラントでは注射薬バイアル充填ラインや化粧品充填ラインの需要拡大が寄与した。

 事業別の内訳では、食品用プラントが590億91百万円(前期比19.3%増)、薬品・化粧品用プラントが147億3百万円(同31.1%増)、酒類用プラントが32億49百万円(同25.3%増)となった。

 メカトロシステム事業は増収減益となった。売上高は2.1%増の377億65百万円となったが、営業利益は28.0%減の23億41百万円に落ち込んだ。半導体製造装置はEVやスマートフォン向けの設備投資抑制により減少した一方、医療機器は北米・欧州向けが好調だった。ただし、医療機器の新規部品の耐久性問題による交換費用や、半導体関連プロジェクトでの想定以上の製造コスト発生が利益を圧迫した。

 農業用設備事業は減収減益となった。売上高は10.1%減の111億70百万円、営業利益は30.7%減の10億42百万円だった。柑橘類・落葉果樹類向け選果選別プラントは増加したが、蔬菜類向けが減少した。

■2026年6月期業績予想
 同社は2026年6月期の連結業績予想として、売上高1,330億円(当期比3.1%増)、営業利益130億円(同5.4%減)、経常利益132億円(同4.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益93億円(同7.5%減)を見込んでいる。
 増収を見込む一方で減益予想の背景には、①人的投資・DX推進による固定費増加、②素材・エネルギー価格上昇、③パッケージングプラント事業でのターンキー受注増加に伴う原価率上昇、④農業用設備事業での新本社工場償却費負担増加がある。
 パッケージングプラント事業では、食品用プラントの飲料用無菌充填ラインの受注が一服する見込みだが、薬品・化粧品用プラントと酒類用プラントの受注残が多く、全体では横ばいを予想。メカトロシステム事業は、AI普及に伴う半導体需要拡大を背景に増収を見込んでいる。

 同社は年間配当を前期比5円増配の95円(中間45円、期末50円)とし、次期も95円を予定している。

 詳細確認は、下記参照。
 澁谷工業の2025年6月期決算短信