日機装、米国で多用途水素ステーション建設

・新設計で蒸発損失ほぼゼロ、南カリフォルニアの水素経済を加速

 日機装(東京都渋谷区)は8月13日、米子会社クリーンエナジー&インダストリアルガス(CE&IG)グループが、米カリフォルニア州サンディエゴのガス会社WestAirと共同で、液化水素ステーションを新設すると発表した。

 新設計により、液体貯蔵時に発生するボイルオフガス(蒸発水素)の損失をほぼゼロに抑えるのが特徴で、2026年1~3月期に本格稼働を予定する。

 建設地は港湾に近い同州ロングビーチで、まずは公共交通向け燃料電池(FC)バスへのH35(35MPa級)水素充填と、水素運搬トレーラーへの充填を行う。トレーラーには50MPaで最大時速120kgの水素を充填でき、複数車両への同時供給にも対応する。将来的にはH70(70MPa級)供給への拡張も可能だ。

 液化水素は高断熱タンクで貯蔵し、予備ポンプや一時貯蔵タンクを備える圧縮システムを採用。充填・配送の複合運用とボイルオフガス圧縮機の導入により、蒸発によるロスを抑える。制御は高度に自動化され、安全性と効率性を確保した。

 CE&IGグループはこれまで世界で35カ所以上の水素ステーション建設に携わっており、南カリフォルニアでの液体水素供給拠点拡充は同地域の水素インフラ発展を後押しする。

 製造は南カリフォルニア拠点のCE&IGチームが担い、2025年10~12月期に試運転を開始する予定。

 CE&IG Fueling Solutions部門プレジデントのマイク・マッキー氏は「WestAirと協力し、需要に応える柔軟性を持ったステーションを提供できることを誇りに思う」と述べた。

 また、WestAirのクリス・カスティリオーネ氏は「港湾近接の立地はゼロエミッション貨物輸送を推進する理想的な環境」と期待を示した。

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