DMG森精機、ロシア工場収用でドイツ政府から保険金支払い合意

・工作機械大手、昨年2月の政府収用による損失を補償

 工作機械大手のDMG森精機は8月8日、ロシア政府による工場収用に関してドイツ政府から保険金の支払い合意を得たと発表した。同社の連結子会社だったロシアの工作機械組立工場が昨年2月に収用された件で、海外直接投資保険による補償を受けることになった。

■収用から保険金合意まで
 同社によると、ロシア・ウリヤノフスクで工作機械の組立を手がけていた連結子会社「Ulyanovsk Machine Tools」が2024年2月19日、ロシア連邦政府により株式を収用された。これを受けてDMG森精機は同社に対する支配権を喪失したと判断し、2024年度から連結範囲を除外。同社に係る事業を非継続事業に分類し、非継続事業からの損失を計上していた。
 一方、DMG森精機はドイツ政府の海外直接投資保険に加入しており、この損失の補償を求めて保険求償を行っていた。8月7日付でドイツ政府の代理人である監査法人PricewaterhouseCoopers(ハンブルク)から、ドイツ政府が保険金支払いに合意したとの通知を受領した。

■財務への影響は精査中
 同社は現在、通知内容の詳細を精査している段階で、「連結財務諸表への影響が明らかになり次第、適切に開示する」としている。保険金の具体的な金額や支払い時期については言及していない。
 ロシアのウクライナ侵攻以降、多くの日本企業がロシア事業からの撤退を余儀なくされており、政府による資産収用のリスクが現実化するケースが相次いでいる。DMG森精機の今回の保険金合意は、海外投資保険の重要性を改めて示す事例となった。

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