・発電事業と販売部門が記録的利益、トラック関連は減速傾向
米国のエンジン大手カミンズ(Cummins Inc.)は8月5日、2025年4〜6月期(第2四半期)決算を発表した。売上高は前年同期比2%減の86億ドルだったが、純利益は同22%増の8億9,000万ドル(売上比10.3%)と大幅に増加し、1株当たり利益は6.43ドルとなった。売上は北米で6%減となったが、欧州や中国の堅調な需要により海外売上は5%増となった。
セグメント別では、発電機などを含むパワーシステム部門(売上19億ドル、19%増)と、販売・サービスのディストリビューション部門(同30億ドル、7%増)が過去最高の利益を計上し、全体の業績をけん引した。一方、トラックなど経済動向に左右される事業では減速傾向が明確になりつつあり、第3四半期から北米のトラック生産台数が急減する見通しである。
同社のジェニファー・ラムジー会長兼CEOは、「発電設備への需要は構造的な成長要因に支えられ好調だが、トラック市場はエンドユーザーの信頼感の低下により減速している。2025年後半にかけて、この傾向はより鮮明になる」と述べた。また、補修部品・サービスのアフターマーケット需要は安定しているという。
利益面では、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は前年同期比で15億ドルから16億ドルに増加し、売上比では18.4%(前年同期は15.3%)と高水準だった。
■セグメント別動向(前年同期比)
• エンジン部門:売上29億ドル(8%減)、EBITDA比率13.8%(前年14.1%)
米国・メキシコでのオンハイウェイ需要減退が響く。
• コンポーネント部門:売上27億ドル(9%減)、EBITDA比率14.7%(前年13.6%)
北米での売上15%減、国際市場は横ばい。
• ディストリビューション部門:売上30億ドル(7%増)、EBITDA比率14.6%(前年11.1%)
米国での発電機需要増が寄与。
• パワーシステム部門:売上19億ドル(19%増)、EBITDA比率22.8%(前年18.9%)
データセンターや重要施設向けの電源需要が伸長。
• ゼロエミッション技術部門(Accelera):売上1億500万ドル(5%減)、EBITDA損失1億ドル
電解装置(Electrolyzer)の設置減少が主因。将来の成長に向けた投資継続。
■その他のハイライト
• 四半期配当金を1株あたり1.82ドルから2.00ドルへ引き上げ。16年連続で増配。
• 新型17Lディーゼル発電機「S17 Centum」シリーズを発表。最大1MWを供給し、都市部での電力需要に対応。
• ジェニファー・ラムジーCEOが米経済誌『バロンズ』の「2025年トップCEO」の1人に選出。
■2025年通期見通しは未公表
経済や規制の先行き不透明感が強いため、2025年通期の業績見通し(売上・利益)は今回も開示を見送った。同CEOは「ポートフォリオの多様性やコスト管理、着実な執行により課題を乗り越えてきたが、当面は不透明感が続く」と述べている。
【会社概要】カミンズ(Cummins Inc.)• 本社:米インディアナ州コロンバス
• 従業員:約69,600人
• 主な事業:ディーゼル・天然ガス・電動・ハイブリッド動力装置、発電設備、アフタートリートメント、燃料電池、水素製造技術など
• 2024年売上:341億ドル、純利益39億ドル
• 持続可能な未来に向けた「Destination Zero」戦略を展開中
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