JFEスチール、インドで方向性電磁鋼板の生産能力を大幅拡張、市場シェアNo.1目指す

・総額約1,200億円を追加投資

 JFEスチールは8月4日、インドにおける方向性電磁鋼板の製造能力を大幅に拡張すると発表した。戦略的パートナーであるインドのJSW Steelとの合弁会社2社を対象に、総額約1,200億円を追加投資。2024年2月以降に決定した既存の設備投資および買収を含め、総額は約2,900億円にのぼる。急拡大するインドの方向性電磁鋼板市場で、圧倒的な供給能力を確保し、No.1サプライヤーの地位を確立する方針だ。

 今回の投資は、カルナタカ州の「J2ES Vijayanagar拠点」と、マハラシュトラ州の「J2ES Nashik拠点」の両工場において実施される。Vijayanagar拠点では、当初計画から倍増となる約10万トン/年の生産能力を確保。Nashik拠点では現行の5万トン/年から約25万トン/年へと大幅に引き上げ、両拠点の合計で年間35万トン規模の体制を構築する。

 背景には、経済成長に伴う電力需要の増加や、再生可能エネルギーの導入拡大、変圧器の高効率化、データセンター需要の増加といった市場環境の変化がある。J2ES Vijayanagar拠点は2027年度中のフル生産開始を予定しており、Nashik拠点は2028年度から段階的に拡張を進め、2030年度の完了を目指す。

 JFEグループは2035年の長期ビジョン「JFEビジョン2035」において、「地球環境保全に貢献する高い技術力とエコプロダクトの提供」を掲げており、本件はその実現に向けた重点施策の一環。さらに鉄鋼事業における第8次中期経営計画(2025~2027年度)においても、海外成長地域における有力パートナーとのインサイダー型事業の推進を柱としており、今回の拡張はこの方針に基づく成長投資(総額4,000億円規模)の第一弾となる。

 JFEとJSWは今回の製造能力拡張により、インド国内で唯一となる方向性電磁鋼板の一貫製造メーカーとして存在感を一層高め、再生可能エネルギー拡大やエネルギーロス低減に貢献する高効率製品の供給を通じて、持続可能な社会の構築に貢献していくとしている。

<製造能力拡張の概要>
• 製造能力合計:35万トン/年
• Vijayanagar拠点:約10万トン/年
• Nashik拠点:約25万トン/年(現状5万トン/年)
• 設備稼働時期:
• Vijayanagar拠点:2027年度中
• Nashik拠点:2028年度~2030年度(段階的)
• 拡張投資額(JFE・JSW合計):約1,200億円
• 既決定投資・買収額:
• Vijayanagar拠点:約1,000億円
• Nashik拠点:約700億円

<J2ES拠点の概要>
■JSW JFE Electrical Steel Private Limited(Vijayanagar拠点)
• 所在地:インド・カルナタカ州ベラリー地区
• 事業内容:方向性電磁鋼板の製造・販売
• 出資比率:JFEスチール50%、JSW Steel 50%

■JSW JFE Electrical Steel Nashik Private Limited(Nashik拠点)
• 所在地:インド・マハラシュトラ州ナーシク市
• 事業内容:方向性電磁鋼板の製造・販売
• 出資比率:JFEスチール50%、JSW Steel 50%

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