米キャタピラー(CAT)、25年4~6月売上は 1%減の166億ドル、1~6月は 5%減の308億ドル

・堅調なキャッシュフロー継続も、価格下落とコスト増で利益は減少

 Caterpillar (キャタピラー):2025年8月5日

 テキサス州アービング、米建機大手キャタピラー(NYSE: CAT)は8月5日、2025年第2四半期(4〜6月)の決算を発表した。売上高は166億ドル(約2兆3,,680億円、148円換算)となり、前年同期(167億ドル)比で1%減。営業キャッシュフローは31億ドルと堅調に推移した一方、利益は価格下落や関税負担の増加により前年を下回った。当四半期の1株当たり利益(EPS)は4.62ドル、調整後EPSは4.72ドルと、いずれも前年同期(EPS 5.48ドル、調整後 5.99ドル)を下回った。営業利益率は17.3%、調整後営業利益率は17.6%。前年同期(それぞれ20.9%、22.4%)から低下しており、価格とコスト要因が収益性に影響を与えた格好だ。

 Joe Creed(ジョー・クリード)CEOは、「当社チームは引き続き顧客成功に集中し、四半期を通して堅調な業績を上げた。インフラ支出とエネルギー需要の継続的な拡大により、各セグメントで強い受注を確認している」とコメントしている。

 CAT2025年第2四半期データ

■第2四半期の部門別状況

<Construction Industries>(建設産業) 

 売上高は61.9億ドルで、前年同期比7%(4.93億ドル)減少。価格の下落が主因となり、販売量もディーラー在庫の減少が影響した。地域別では北米および中南米での販売が減少、欧州・中東・アフリカ(EAME)、アジア太平洋では販売が増加した。

 同部門の利益は12.44億ドルとなり、前年同期(17.41億ドル)比で29%減少。価格下落と関税コストの増加が主な要因である。

<Resource Industries>(資源産業)

 売上高は30.87億ドルで、前年同期(32.06億ドル)比で4%減。価格下落が主な減少要因である。利益は5.37億ドル(前年同期:7.18億ドル)で25%の減益。価格要因に加え、製造コスト増(関税含む)や販売構成の悪化が響いた。

<Energy & Transportation>(エネルギー&輸送)

 同部門は堅調に推移し、売上高は前年同期比7%増の78.36億ドル。販売量の増加(3.26億ドル)と価格効果(1.39億ドル)が寄与した。石油・ガス関連ではタービン販売が伸長したが、ガス圧縮装置向けのレシプロエンジン販売は減少。発電ではデータセンター向け大型エンジンが好調だった。

 同部門の利益は15.85億ドル(前年同期比4%増)。販売増益や価格上昇効果があったが、製造コストの悪化(関税増含む)も確認された。

<FINANCIAL PRODUCTS SEGMENT(金融商品セグメント)

 売上高は10.42億ドルで、前年同期より3,800万ドル(4%)増加。収益資産の増加や保険サービスの伸長が要因となった。利益は2.48億ドルとなり、前年同期比9%の増益。株式評価益や収益資産の増加が好影響をもたらした一方で、貸倒引当の積み増しや利回り低下が一部打ち消した。

 延滞率は前年同期の1.74%から1.62%に改善した。貸倒損失(回収控除後)は前年と同じ1,800万ドル。信用損失引当金は2.9億ドルで、融資残高の0.94%に相当する(前年末は0.91%)。

■通期見通しと企業戦略

 キャタピラーは、建設・鉱山機械、ディーゼルおよび天然ガスエンジン、産業用ガスタービン、ディーゼル電気機関車における世界的リーディングカンパニーであり、2024年には売上収益ともに648億ドル(約9兆5,904億円、148円換算)を記録した。同社は100年にわたり、顧客の持続可能な世界づくりに貢献し続けており、低炭素社会への移行にも積極的に対応している。今回の決算では、インフラ支出からの堅調な需要が販売を支えたが、グローバルな価格動向および通商環境の変化が利益面に影を落とす結果となった。今後も、キャタピラーは「建設機械」「資源産業」「エネルギー&運輸」の3部門に加えて、金融商品を通じたサービス展開により、全方位で成長戦略を続ける構えである。

 ニュースリリース

 リリース(PDF版)