三菱ロジスネクストは8月5日、2026年3月期第1四半期(2025年4〜6月)の連結決算を発表した。売上高は円高による為替影響を主因として1,596億7,300万円(前年同期比3.7%減)となり、主力市場の一つである米州での減益も響いて、営業利益は61億5,700万円(同12.1%減)、経常利益は47億8,200万円(同17.7%減)を計上。純利益は、前年に計上された固定資産の譲渡益の反動減もあり、17億6,300万円(同77.3%減)にとどまった。
のれん等償却の影響を除いた営業利益は82億5,700万円(同14.7%減)で、営業利益率は5.2%(同0.7ポイント減)となった。
2025年度は中期経営計画「Logisnext Transform 2026」の2年目に位置付けられ、最終年度での売上高7,000億円、のれん等償却前営業利益率8%の達成を目指している。物流機器市場については、国内の堅調な需要や、米州での在庫調整一巡による回復を期待していたが、米国関税政策による景気の不透明感から需要が減速。米州の見通しは下方修正されている。一方、欧州は緩やかに持ち直し、アジア・中国も堅調な需要が継続している。
第1四半期の米州では、前年同期に発生したエンジン認証遅延による出荷停止の影響が解消され、販売台数は同水準を維持したが、関税政策による競争激化のもとで販売コストが増加。これにより事業環境は厳しさを増している。関税政策はコスト上昇に加え、グローバルな景気減速の要因にもなりうるとし、同社は今後の事業見通しに警戒感を示している。
■セグメントごとの経営成績
<国内事業>
国内は、需要が堅調に推移し価格適正化の効果も表れたが、一部製品が海外事業セグメントへ移管された影響で、売上高は452億5,000万円(同2.6%減)となった。セグメント利益は7億600万円(同159.0%増)と大きく伸長。のれん等償却の影響を除いた場合は17億700万円(同14.6%増)となった。
<海外事業>
海外は欧州・アジアでの増収があったものの、円高が響き、売上高は1,144億2,200万円(同4.2%減)。セグメント利益は54億5,000万円(同19.1%減)で、特に米州での減益が大きく影響した。のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は65億5,000万円(同20.0%減)だった。
■通期業績予想を下方修正
同社は第1四半期の実績と事業環境を踏まえ、2026年3月期の通期業績予想を以下の通り修正した。
売上高:6,500億円(前期比2.2%減、従来予想比▲3.7%)、営業利益:240億円(同15.6%増)、経常利益:180億円(同21.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益:110億円(同27.0%増)。
2025年5月時点の予想では、米国との相互関税について不確定要素が高かったが、交渉の結果、日本向け関税は15%で妥結された一方、鉄鋼・アルミ製品への追加関税(50%)は継続。さらに、米州のPMI指数も製造業の縮小を示唆しており、同社は米州での販売台数のさらなる減少を織り込んだ。
エンジン車を中心に競争環境も一段と厳しさを増し、受注確保に伴う販売コストの増大や価格転嫁の難しさも浮き彫りとなった。結果として、前回発表比で売上高は減額、営業利益・経常利益・純利益のいずれも下振れを見込む。
なお、のれん等償却前営業利益は330億円(前回予想比90億円減)となる見通しである。
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