・人手不足解決の切り札として、多様な産業への導入促進を目指す
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月4日、深刻化する人手不足問題の解決に向け、ロボットシステムの普及拡大を図る新たな研究開発事業を開始すると発表した。
■ロボット導入の課題と新事業の狙い
日本の多くの産業現場では人手不足が深刻な問題となっており、ロボットの活用に大きな期待が寄せられている。しかし、従来のロボット導入には高いハードルが存在していた。多品種少量生産での対象物の多様性、環境変化への対応の難しさ、運用後の条件変化によるコスト増大などが主な要因だ。また、ハードウェアごとに異なるプログラミング言語が使用されるため、新規開発者の参入障壁が高いという構造的問題もあった。
■オープンなソフトウェア開発基盤の構築
NEDOは「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」で3件の研究開発テーマを採択し、ロボットシステムの各機能をモジュール化する取り組みを開始した。ソフトウェアの品質や性能を可視化する検証技術や開発ツールを整備することで、多様な開発主体が参入しやすいオープンな開発環境の実現を目指している。さらに連携事業「デジタル・ロボットシステム技術基盤構築事業」でも4件のテーマを採択し、システム・インテグレーションを効率化する汎用的なモジュール開発に取り組む。
■期待される効果と社会への貢献
これらの事業により、開発環境の民主化、導入・運用の簡素化、活用領域の拡大が期待される。技術的ハードルの低下により、従来ロボット化が困難だった分野への普及が加速し、製造業からサービス業、農業まで幅広い産業での生産性向上が見込まれる。NEDOは二つの事業を一体的に推進することで、日本のロボティクス産業の競争力強化と、人手不足という重要な社会課題の解決に貢献していく方針。
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