日本製鋼所が8月4日に発表した2026年3月期第1四半期(2025年4〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比41.9%増の675億44百万円となり、大幅な増収を確保した。営業利益は23.5%増の52億72百万円、経常利益は16.6%増の56億18百万円、四半期純利益も20.9%増の43億81百万円と、各段階で2桁の増益を記録した。
主力の産業機械事業がけん引役となり、前期からの受注残や高水準の出荷が業績を押し上げた。一方で、受注高は全体で651億78百万円と、前年同期比13.1%の減少となっており、先行きには慎重さもみられる。
■セグメント別動向:産業機械が5割増収、素形材は人材投資が影響
<産業機械事業>
売上高は577億47百万円(前年同期比51.6%増)、営業利益は43億14百万円(同31.1%増)と大きく伸長した。主力の樹脂製造・加工機械の受注は、米国の関税政策に端を発する設備投資の抑制で減少したが、前年からの受注残処理が寄与し、売上と利益は堅調に推移した。受注高は526億39百万円(同17.0%減)となっている。
<素形材・エンジニアリング事業>
売上高は92億43百万円(同1.9%増)、営業利益は16億81百万円(同22.3%減)。電力・原子力関連需要の増加に対応するための要員確保など、人材投資による固定費増が利益を圧迫した。受注高は117億91百万円(同6.4%増)と堅調に推移している。
■通期見通しは変更せず、増収増益を維持へ
日本製鋼所は、2026年3月期通期の業績見通しについて、以下のとおり据え置いている。
売上高:2,900億円(前期比16.7%増)、営業利益:245億円(同7.3%増)、経常利益:245億円(同4.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益:185億円(同3.0%増)。
通期では産業機械事業の堅調な出荷に加え、原子力・インフラ関連の需要増も取り込む構え。先行投資によるコスト増への対応と受注動向が、今後の焦点となる。