日本精工(NSK)が8月1日に発表した2026年3月期第1四半期(2025年4〜6月)の連結決算は、為替の円高が影響し、売上高が前年同期比2.4%減の1,957億60百万円となった。営業利益は18.4%減の47億90百万円、税引前四半期利益は5.0%減の48億94百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は43.1%減の10億83百万円と、各利益段階で前年を下回った。
同社は2022年度から2026年度までの5ヵ年を「中期経営計画2026」と位置づけ、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」を3つの重点課題として推進。安全・品質・環境・コンプライアンスを最優先のコアバリューとし、事業基盤の強化を進めている。
■産業機械は為替で減収 自動車は営業増益も地域に濃淡
産業機械事業は、設備投資需要の回復が見られたが、為替の円高が影響し、売上高は891億56百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は15億92百万円(同41.2%減)となった。
地域別では、日本は工作機械向けが伸びて増収。米州はアフターマーケットや半導体装置向けの需要が堅調だったが、円高の影響で減収。欧州は需要が低迷し減収、中国では工作機械・電機・家電向けが増加し、増収となった。
自動車事業は、世界的な自動車生産の回復により販売は底堅く推移したが、為替の影響で売上高は988億67百万円(同1.6%減)となった。一方で、営業利益は35億74百万円(同16.1%増)と増益を確保した。
地域別では、日本は生産台数の微増により売上はほぼ横ばい。米州は関税の売価転嫁を進めたものの、円高で減収。欧州は市況低迷で減収が続いた。中国では政府の買い替え促進策を追い風に増収となった。
■通期見通しは据え置き 構造改革とコスト管理に注力
同社は2026年3月期通期の業績見通しについて、以下のとおり5月公表時から変更しなかった。
売上高:7,600億円(前期比4.6%減)、営業利益:220億円(同22.7%減)、税引前利益:190億円(同24.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益:70億円(同34.3%減)。
世界的な政策不透明感や為替の変動が続く中でも、収益性の確保と経営資源の強化を図る方針を維持する。