エスシー・マシーナリ、パナソニックHD、シャープ、クレーン用デジタル合図無線の技術実証に成功

・「スカイクリア」で通話障害を克服、超高層ビル施工現場で実証

 清水建設グループのエスシー・マシーナリ(SCM)、パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)、シャープの3社は8月4日、タワークレーンのオペレータと玉掛け合図者間の無線通話を円滑化するデジタル合図無線「スマホ無線機【スカイクリア】」の技術実証に成功したと発表した。都心で施工中の超高層オフィスビル現場で性能を確認済みで、今秋には日本一の高さとなる「Torch Tower」の建設現場にも採用される見通し。

 スカイクリアは、免許不要の日本標準規格通信方式「sXGP(shared eXtended Global Platform)」を基盤としたプライベートLTE通信を活用。高さ200mを超える超高層ビルで生じる「電波が届かない」「混信する」といった従来のアナログ特定小電力無線(400MHz帯)の課題を克服する目的で、3社が共同開発した。

 機器構成は、sXGPネットワークを構築する無線基地局「xGsPod」を搭載したマスター基地局、通信エリア拡張用アンテナ、アンテナをLAN接続するPoEスイッチングハブなど。上下階のアンテナをLAN接続することで超高揚程での通話を可能にしたほか、最大32台(4人×8グループ)のスマートフォンによる同時接続にも対応。ノイズのないクリアな音声通話が実現できる。

 実証実験では、施工現場の低層階にマスター基地局とアンテナを、躯体上部のクレーンにアンテナを設置しLAN接続。これにより地上・屋上にいる玉掛け作業者とクレーンオペレータのクリアな同時通話が可能となった。

 開発における役割分担は、SCMが実証実験現場や重機の提供、パナソニックHDが基地局やアンテナ、サーバの製作、シャープがsXGP対応スマートフォンおよび専用通話アプリの開発、ならびに端末管理クラウド「LINC Biz emm」の提供を担当した。

 今後は、300mを超える超々高層ビルや、クレーン密集・大型現場の隣接といった通信環境が厳しい建設現場を主なターゲットに、SCMがスカイクリアとタワークレーンをセットで提供。建機事業の差別化を図る方針。

 なお、スカイクリアは、今秋に建設が本格化する三菱地所の超高層複合施設「TOKYO TORCH」街区の「Torch Tower」(地上62階、高さ約385m)で導入予定となっている。

 詳細は、ニュースリリース