DIC(東京都中央区)は8月1日、千葉工場(千葉県市原市)にエポキシ樹脂の新たな生産プラントを建設することを決定したと発表した。今後の半導体や先端電子部品向けの需要拡大に備え、同分野への安定供給体制を構築し、同社独自の「ケミトロニクス」ソリューションを強化する。
今回の投資計画は、経済安全保障推進法に基づく「供給確保計画」として経済産業省の認定を受けており、最大30億円の助成を受ける予定。新プラントの稼働は2029年7月を予定しており、半導体用エポキシ樹脂の生産能力を約59%引き上げる。
エポキシ樹脂は、優れた成形性、耐熱性、電気絶縁性、接着性を備えた熱硬化型樹脂で、幅広い産業に活用されている。DICは1968年から製造・販売を手がけ、分子設計から製品化までの一貫体制と量産技術を強みに、エレクトロニクス分野向けに高性能樹脂を提供してきた。
近年では、5GやAIの進展に伴う通信技術の高度化を背景に、半導体材料には高耐熱性や低伝送損失といった高機能化が求められており、DICのエポキシ樹脂は重要な役割を果たしている。一方で、千葉工場の既存設備だけでは将来的な需要増に対応しきれないとの懸念もあったことから、隣接地への新プラント建設を決めた。
新設備では、生産能力の増強に加え、新規生産プロセスの導入により、世界トップレベルの品質と生産性を追求。同社は、競争力のさらなる強化とともに、日本国内における半導体材料の供給体制強化を図る方針だ。
〈供給確保計画の概要〉
生産場所:DIC千葉工場(千葉県市原市)
供給開始:2029年7月予定
生産能力:半導体用エポキシ樹脂を約59%増産
最大助成額:30億円(経済産業省より)