芝浦機械が7月31日に発表した2026年3月期第1四半期(4〜6月)連結業績によると、売上高は射出成形機及び工作機械が国内、北米で増加したが、中国におけるリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の減少により、309億7千7百万円(前年同期比26.9%減、海外比率76.1%)となった。損益については、規模減少による減益などにより、営業利益は9億2千2百万円(同76.7%減)、経常利益は10億2千4百万円(同76.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は8億6千6百万円(同70.3%減)となった。
また、受注高は射出成形機が米国の関税政策の影響もあり減少したが、押出成形機が国内で増加し、238億5千万円(同1.3%増、海外比55.5%)となった。
第1四半期における世界経済は、米国トランプ政権の関税政策による経済全体の下押し、中国では景気刺激策による内需の下支えなどが一部みられるものの景気低迷の長期化、ウクライナ情勢や中東情勢の懸念継続など不確実性が高まり、先行き不透明な状況が継続した。同社グループを取り巻く経済環境は、米国の関税政策の影響による設備投資の様子見や自動車市場の停滞、中国経済の低迷長期化の影響など厳しい状況で推移した。
このような経済環境のもとで、同社グループは中期経営計画「中計2026」(2025年3月期~2027年3月期)で掲げている事業ポートフォリオの組み替え、顧客の生産性向上に寄与するシステムエンジニアリング装置販売・直販への軸足シフト、事業ポートフォリオ組み替えにリンクした人材戦略、ESG経営の推進等の基本方針に基づき、脱炭素社会、EV、再生可能エネルギー、労働生産性向上などに関連した商品の開発と提供、DX戦略の推進などの諸施策を遂行した。
■セグメント別の概況
<成形機事業>[射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機など]
射出成形機の販売は、中国で減少したものの、日本、北米、東南アジアで増加した。受注は北米、中国、インドで減少した。ダイカストマシンは、自動車向けが、販売と受注が北米、韓国、インドで増加した。押出成形機の販売は中国におけるリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置が減少した。受注は国内における造粒機等が増加した。
成形機事業全体の受注高は163億8千8百万円(前年同期比1.8%増、海外比率63.8%)、売上高は243億7千4百万円(同32.1%減、海外比率86.3%)、営業利益は8億7千万円(同80.3%減)となった。
<工作機械事業>[工作機械(大型機、門形機、横中ぐり盤、立旋盤など)、超精密加工機など]
工作機械の販売は、超精密加工機においては、販売は中国、欧州で増加した。受注は中国における車載レンズ向けが増加したものの、国内で減少した。
工作機械事業全体の受注高は53億7千3百万円(前年同期比3.2%減、海外比率50.0%)、売上高は44億3千4百万円(同10.3%増、海外比率55.8%)、営業利益は1億4千7百万円(前年同期は営業損失2億9百万円)となった。
<制御機械事業>[産業用ロボット、電子制御装置など]
制御機械の販売は、国内における電子制御装置が減少した。受注は国内で増加したものの、海外で減少し、微減となった。
制御機械事業全体の受注高は15億4千9百万円(前年同期比1.8%減、海外比率5.0%)、売上高は15億5千3百万円(同25.1%減、海外比率5.2%)、営業損失は8千2百万円(前年同期は営業利益2千6百万円)となった。
<その他の事業>
その他の事業全体の受注高は5億3千8百万円(前年同期比63.7%増、海外比率1.1%)、売上高は6億1千3百万円(同64.0%増、海外比率0.4%)、営業損失は1千5百万円(前年同期は営業損失2億7千1百万円)となった。
■次期の見通し
2026年3月期の見通しについては、2025年5月12日公表予想(下記)を据え置いている。
売上高1,400億円(以下、前年度比19.4%減)、営業利益50億円(64.5%減)、経常利益50億円(64.5%減)、親会社株主に帰属 する当期純利益33億円(73.8%減)。