川崎重工業は8月1日、台湾最大手のエンジニアリング会社である中鼎工程股份有限公司(CTCI)とのコンソーシアムで、台湾の石油化学大手・台塑グループの台塑石化股份有限公司(FPCC)が進める「麥寮LNG受入基地」向けLNGタンク建設案件を受注したと発表した。タンクの完成は2029年中頃を予定しており、同年末には台湾電力(TPC)への電力供給が始まる見通し。
同プロジェクトは、台湾雲林県の台塑麥寮工業地区で進められる国内初の民間主導によるLNG受入基地建設の一部で、従来の石炭火力から天然ガス発電への転換を進めるFPGの戦略的事業の中核を成す。
川崎重工が担当するのは、容量16万㎥の地上式LNGタンク2基と、低温配管、LNG払い出しポンプなどの付帯設備。タンクは極低温用鋼材を用いた内槽と、プレストレストコンクリート構造の外槽の間に断熱層を有する設計で、高い安全性と保冷性能を確保している。
同社は1980年代より国内外で70基以上のLNGタンクを納入しており、台湾においても台中LNG受入基地(第二期)や、桃園市の第三LNG受入基地(建設中)などの実績を持つ。これらの経験と技術力が、今回の受注につながったとみられる。
また川崎重工グループは、LNG分野で培った極低温技術を液化水素にも応用し、次世代エネルギーインフラの構築にも積極的に取り組んでいる。LNGは、再生可能エネルギーとの相互補完性が高く、カーボンニュートラルに向けた「トランジション・エネルギー」として国際的に需要が拡大している。
〈受注案件の概要〉
• 事業名称:麥寮LNG受入基地 LNGタンクEPC業務
• 受注先:台塑石化股份有限公司(FPCC)
• コンソーシアムパートナー:中鼎工程股份有限公司(CTCI)
• 建設地:台湾・雲林県 台塑麥寮工業地区
• 設備内容:160,000㎥地上式LNGタンク×2基、LNG払い出しポンプ、低温配管など
• タンク構造:極低温用鋼内槽+プレストレストコンクリート外槽+断熱層
• 完成予定:2029年中頃
• 供給開始予定:2029年末(台湾電力へ)
• プロジェクトの位置づけ:台湾初の民間主導LNG受入基地、FPGの脱石炭プロジェクトの一環