・国内初の本格稼働事例、標高4,500mでの過酷環境下に対応
Liebherr(リープヘル):2025年7月30日
仏コルマール発――リープヘル・マイニングは、チリ北部タラパカ州にあるコジャウアシ銅鉱山において、インフラから車両までを含むフルパッケージのトロリーソリューションの納入と本格稼働を完了したと発表した。今回の導入は、同国初の本格稼働するトロリーラインであり、標高4,500メートルという極めて過酷な自然条件(強風、地震など)に対応する設計が施されている点でも注目を集めている。
本プロジェクトは、リープヘルと、英アングロ・アメリカン、スイスのグレンコア、日本のJapan Collahuasi Resources B.V.の3社によって共同所有されているコジャウアシ鉱山会社(Compañía Minera Doña Inés de Collahuasi)との協働により実現。1kmのトロリーラインには、360トン積みの鉱山用ダンプトラック「T 284」4台が架線集電式(パンタグラフ装備)で稼働している。
■世界各地での経験を活かした初のフルスコープ案件
「今回のコジャウアシ案件は、当社として初の“フルスコープ型”トロリーソリューションの納入事例となりますが、これまでパナマで38台、ザンビアで15台、オーストリアで7台のトロリートラックを供給してきた実績が礎になっています」と語るのは、リープヘル・マイニング機器部門 副社長(研究・開発、設計・生産担当)のオリバー・ヴァイス氏。
このソリューションには、架線や電源系統を含むインフラ整備、車両側の機器設計・製造、現地設置および運用開始、さらにオペレーター向けのトレーニングまでが含まれる。
■地元主導とグローバル調達の融合
現地施工を担ったリープヘル・チリのマイニング事業部マネージングディレクター、ゴンサロ・ガルシア氏は「グローバルなサプライチェーンを活かして、最適な部品と技術を組み合わせました」と説明する。
具体的には、架線用マストとカテナリー(架線)部分の設計・製造をチリ国内で行い、5.5MWのトランスと保護用の電源制御小屋(e-house)は南アフリカで製作。接触線やテンションホイールなどの補助機器は国際的な調達網を通じて供給された。鉱山会社側が土木工事を担う一方で、リープヘル・チリは運搬道路の仕様策定や施工支援を実施した。
■パンタグラフ装備は米バージニア工場と連携
T 284トラックへのパンタグラフ取付けは、リープヘルの米国ニューポートニューズ工場とチリ現地法人が連携し、段階的に実施。まず、車体の上部構造をトロリー対応に改造し、その後インフラ完成に合わせてパンタグラフを設置することで、稼働停止時間を最小限に抑えた。
■長期サポート体制も構築
リープヘルは、トロリーラインの運用を最適化するため、オペレーター向けに包括的なトレーニングを実施。今後も技術支援や追加教育を継続的に提供する方針だ。
ヴァイス副社長は「本プロジェクトは、戦略的パートナーシップによって何が実現できるかを示す好例です。今後はこの実績を礎に、当社のトロリー技術のさらなる展開を目指します」と述べている。
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