KION、25年上期受注は62億600万ユーロで過去最高を記録

・売上は4.2%減の54億9,600万ユーロ、調整後EBIT利益率は7.0%を維持

 KION GROUP AG (KIONグループ ):2025年7月30日

 フランクフルト=独KIONグループは30日、2025年上半期(1~6月)の連結業績を発表し、サプライチェーンソリューション部門で四半期ベースの過去最高の受注を記録するなど、堅調な需要を背景に受注高が前年同期比で22.2%増の62億600万ユーロとなった(前年同期は50億7,900万ユーロ)。地政学リスクや経済不確実性が続く中でも、顧客需要は堅調に推移している。一方、売上高は前年同期比4.2%減の54億9,600万ユーロとなり、利益面では減益となったものの、全体としては想定通りの進捗となった。

 KIONグループ2025年第2四半期データ

 KIONグループCEOのロブ・スミス氏は、「第2四半期のサプライチェーンソリューション部門では記録的な受注を達成し、主要な業績指標もすべて見通しに沿っている。デジタルと物理的に高度に接続された世界経済において、KIONは顧客のサプライチェーンを柔軟・強靭・スマートにする包括的なソリューションを提供している」とコメントした。

■受注高、サプライチェーン事業で急拡大

 部門別の受注動向では、産業用トラック&サービス(ITS)部門が前年同期比6.8%増の40億2,800万ユーロ。新車(倉庫用・カウンターバランスタイプ)の堅調な販売と、サービス事業の拡大が寄与した。

 サプライチェーンソリューション(SCS)部門では、前年同期比66.9%増の22億100万ユーロに急増。特に第2四半期だけで14億4,500万ユーロの受注を記録し、過去最高を更新した。プロジェクト事業の伸長とサービス領域の拡大がけん引した。

■売上は減少も、サービス事業は成長

 グループ全体の売上高は4.2%減の54億9,600万ユーロ。ITS部門の売上は4.0%減の41億3,500万ユーロ、SCS部門は4.5%減の13億8,500万ユーロとなった。これは、前年下期の受注残の水準が通常に戻ったことや、プロジェクト事業の一時的な鈍化が影響した。ただし、サービス事業の売上は前年から着実に伸びている。

■営業利益・純利益とも減少も、SCS部門は利益倍増

 調整後営業利益(EBIT)は13.9%減の3億8,500万ユーロ。調整後EBITマージンは7.0%と前年同期の7.8%から低下した。

 ITS部門の調整後EBITは23.8%減の3億5,890万ユーロ、マージンは8.7%(前年10.9%)と下落。出荷台数の減少と売上総利益率の悪化が影響した。

 一方、SCS部門では調整後EBITが前年の2倍近い7,840万ユーロ(前年4,210万ユーロ)に達し、マージンも5.7%(前年2.9%)へと大幅改善した。サービス事業の好調とプロジェクト遂行力の強化が利益を押し上げた。

 純利益は、2月に発表された効率化プログラムに関連する引当金の影響で4,790万ユーロにとどまり、前年の1億8,170万ユーロから大幅減少した。フリーキャッシュフローは1億6,190万ユーロと引き続きプラス圏を維持した(前年2億220万ユーロ)。

■2025年通期見通しを維持、地政学リスクを注視

 KIONは、依然として貿易摩擦や原材料の制限などを含む地政学的リスクを注視しているものの、2024年の年次報告書で掲げた2025年の業績目標を維持する方針を改めて示した。供給網が大きく混乱しない限り、現行の業績計画に変更はないという。

■会社概要

 KIONグループは、産業用トラック、倉庫自動化、AIソリューション、ソフトウェア、関連サービスを世界100カ国以上に提供するサプライチェーンソリューションの大手企業である。2024年末時点で、全世界で190万台以上の同社製産業用車両が稼働中。従業員数は約4万2,000人、2024年の売上高は約115億ユーロに達した。

 EMEA(欧州・中東・アフリカ)地域では2023年の販売台数で産業用トラック分野の最大手。中国市場では、海外メーカーとして最大、国内メーカーを含めると第3位の規模を誇る。また、倉庫自動化分野では2023年の売上高ベースで世界最大手である。

 ニュースリリース

 2025年第2四半期レポート

 2025年第2四半期プレゼン資料