・環境・DXに配慮したスマート工場を整備
ニッスイ(東京都港区)は7月30日、グループ会社の北九州ニッスイ(福岡県北九州市)の本社工場を新設すると発表した。建設地は北九州市戸畑区の同社旧第一工場跡地および隣接地で、2025年8月7日に起工式を行い、2026年12月の竣工を予定している。
新工場は、老朽化が進む北九州ニッスイの2工場(戸畑工場・第二工場)に代わる基幹拠点と位置づけられ、冷凍食品やすり身製品などニッスイの戦略カテゴリーの製造を担う。既存の2工場は閉鎖し、山口県宇部市の宇部工場と新工場に生産機能を移転する。
■「ニッスイスマートファクトリー」構想のモデル工場に
ニッスイは、2030年度に食品事業の売上高を2021年度比で50%増の2,090億円へと引き上げる長期ビジョン「GOOD FOODS 2030」を掲げており、新工場はこれを支える重要な戦略投資となる。現在進行中の中期経営計画「GOOD FOODS Recipe2」(2025~27年度)においても、「生産体制の再構築」は主要テーマの一つ。
新工場は、環境・社会・人材・経済の4つの価値を創造する「ニッスイスマートファクトリー」のモデル工場として整備され、以下のような特徴を備える。
• デジタル化:AIを活用した自動化ラインを導入。設備からのデータを解析し、将来的には予兆保全にも対応。顔認証による入退室管理などセキュリティも強化。
• 環境負荷低減:創エネ・省エネ施策により消費電力を半減。非化石化証書の活用で実質的なCO₂排出ゼロを実現し、脱炭素社会に貢献。
• 人にやさしい職場:重労働や単調作業の自動化・無人化を進め、働きやすい職場環境を実現。
• 地域との共創:行政と連携し、地元雇用や環境保全など地域課題の解決にも寄与。
■生産性150%以上、戦略商品を強化
新工場では冷凍具付き麺や業務用加工品「おさかなソー®」、家庭用フィッシュソーセージ類などの戦略商品を生産。品揃えの拡充や調理時間の短縮など、利便性と品質の両立を目指す。従来工場比で150%以上の生産性向上も見込む。
特に「おさかなソー®」については、需要の拡大が見込まれる業務用市場をターゲットに、生産能力の増強と商品開発を強化。家庭用製品は八王子総合工場と役割分担を図り、安定供給体制の構築と効率化を推進する。
■戸畑との縁を未来へ継承
戸畑区は、ニッスイの前身である共同漁業が1930年に拠点を構えて以来、90年以上にわたり水産加工・冷凍食品生産の重要拠点だった。2021年には旧第一工場が火災で半焼し、稼働停止に追い込まれたが、新工場はこの地における歴史を継承しつつ、次代の中核拠点として位置づけられる。
現在、ニッスイと北九州市は地域経済や雇用、環境活動における連携強化に向けた協定の締結を協議中であり、地域との共存共栄も目指す。
<北九州ニッスイ 概要>
• 所在地:福岡県北九州市戸畑区銀座二丁目9番9号
• 代表者:伊勢 宗弘
• 設立:1991年9月26日
• 資本金:98百万円(ニッスイ100%出資)
• 事業内容:食品の製造
• 従業員数:211名(2025年6月末時点)
• 認証取得:ISO14001、FSSC22000
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