日立建機が7月30日に発表した2026年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上収益は3,061億5千2百万円(前年同期比増減率△6.7%)と減収となった。利益項目については、原価低減や販売価格引き上げの継続が利益の下支えとなった一方、円高影響や物量の減少、研究開発費・人件費等の成長投資が増加したことで調整後営業利益は221億2千3百万円(同△31.9%)と減益となった。また、親会社株主に帰属する四半期利益については、円高影響による金融収支の悪化も加わり、112億8千万円(同△54.1%)となった。一方で、運転資本縮減の取組みにより営業キャッシュ・フロー、フリー・キャッシュ・フローは前年同期比で増加している。
第1四半期は、円高影響に加え北米を中心とした販売減により前年同期比で減収となった。北米では金利高の継続に加え、米国関税政策により先行き不透明感が強まっており、厳しい市況が続いている。日本やオセアニアにおいても市況の悪化が見られた一方、欧州やアジアは回復基調にあり販売が堅調に推移した。
なお、2024年3月期第4四半期連結会計期間より、IFRS会計基準に即して、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスセグメントにおけるノンコア事業を非継続事業に分類している。これにより、前第1四半期連結累計期間について、売上収益、調整後営業利益、営業利益、税引前四半期利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、四半期利益及び親会社株主に帰属する四半期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示している。
■セグメントの業績
① 建設機械ビジネス
売上収益は2,744億7千7百万円(同△7.9%)、調整後営業利益は196億6千万円(同△32.4%)と前年同期比で減収減益となった。欧州・アジアでの販売は堅調に推移したものの、円高影響、北米市況の低迷、ならびに研究開発費・人件費等の成長投資の増加が業績に影響を及ぼした。
② スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス
同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されている。
売上収益は、340億8千3百万円(同7.2%)と前年同期比増収であった一方、調整後営業利益は24億6千3百万円(同△28.2%)と減益になった。2024年12月に事業買収を行った米国Brake Supply Co.,INC.の取込みによる増収効果があった一方で、円高影響や主力製品であるミルライナーの需要が調整局面に入り製品構成差が悪化したことにより、調整後営業利益は減益となった。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。
■今後の見通し
2026年3月期において、北米では金利高に加えて米国関税政策による先行き不透明感が強まっており、今後さらに厳しい需要環境が続くと見込む。また、米国関税政策が他地域に与える影響を見越し、グローバル全体の需要環境を慎重に見通している。
マイニングの分野では、銅や金の価格は堅調に推移する一方で、世界経済の減速に伴い石炭、鉄鉱石などの資源価格動向が弱含んでおり、マイニング製品の新車需要は全体的に減少を見込む。
需要環境の不透明感が強まっていることを踏まえ、前回4月公表時には織り込んでいなかった米国関税政策の影響を今回初めて織り込み、2026年3月期連結業績予想(2025年4月1日~2026年3月31日) を修正した。 北米を中心にグローバルで需要が減少することを前提に、販売見通しを引き下げた。マイニング事業においても、足元の受注減速を反映した。
なお、米国の関税適用に伴うコスト増については、販売価格引き上げにより一定程度を吸収できる見込み。
日立建機を取り巻く事業環境は不透明感を増しているが、安定的にキャッシュを創出している近時の状況に鑑み、年間配当については前年同等となる1株当たり175円の計画を維持する。
2026年3月期(2025年度)連結業績予想は、売上収益1兆3,000億円(前期比5.2%減)、調整後営業利益1,300億円(同11.3%減)、税引前当期利益1,190億円(同0.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益730億円(同10.4%減)。
業績見通しの前提となる第2四半期以降の為替レートについては、米ドル145円、ユーロ155円、人民元19.9円、豪ドル94円と、前回4月公表時から変更していない。
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