川崎重工、介護現場の課題「見える化」へ、AMED「介護DX」事業に採択

・介護施設向けDXパッケージモデルを開発・全国展開へ

川崎重工業は7月30日、デジタル技術を活用した「介護DXパッケージモデルの開発」事業が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の2025年度「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」に採択されたと発表した。今後、介護機器メーカーや施設と連携し、介護現場の課題やテクノロジー導入の効果を“見える化”するモデルを全国で検証・展開していく。

 日本では高齢化の進行に伴い、介護人材不足が深刻化。ロボットやICTなどの介護テクノロジーの活用が注目される一方で、現場ではその効果や活用イメージが十分に伝わっていないことから、導入が進みにくいという課題がある。

 今回の事業では、川崎重工が一般社団法人日本ノーリフト協会と共に、全国各地の介護施設を対象にDXパッケージモデルの有効性を検証する。調査・分析から課題抽出、機器導入、活用支援、投資効果の可視化まで一貫して支援するのが特長で、評価には同社の屋内位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki™」を用いた介護行動計測を活用。従来の属人的な分析をデジタル化し、客観的かつ効率的な評価を可能にする。

 検証は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護老人保健施設など多様な施設で実施。地域は愛知、福岡、東京、北海道、兵庫、大分、高知、岡山の8都道府県に及ぶ。期間は2025年8月から2026年3月を予定している。

 同社は2024年8月に介護業務支援サービス事業に参入しており、今回の取り組みを通じて2030年度までに数百施設への展開を目指す。人と機器の協働による効率的な介護体制の実現と、職員の業務負担軽減、介護の質向上を図り、利用者や家族、職員すべてが恩恵を受けられる持続可能な社会づくりに貢献していくとしている。

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