中外製薬、製法開発と環境対策強化へ、浮間事業所に新研究棟「UKX」を建設

 中外製薬(東京都中央区)は7月24日、製法開発機能の強化と環境対策の推進を目的に、東京都北区の浮間事業所内に新研究棟「UKX(User-oriented Knowledge transformation complex)」を建設することを決定したと発表した。着工は2026年5月、竣工は2028年8月を予定しており、総投資額は800億円にのぼる。

 今回の研究棟新設は、中外製薬の成長戦略「TOP I 2030」に基づくR&Dアウトプット倍増と、自社グローバル品の毎年上市の実現を支えるもの。特に中分子や抗体エンジニアリング技術を活用した医薬品など、製造方法の開発難易度が高まる中で、製法開発の迅速化と効率化が急務となっている。

 新研究棟「UKX」は、2022年10月に取得した浮間事業所西側の事業用地に建設される。延床面積は約2万7,000㎡で、製法開発に関わる多機能間の連携を促進するオフィス設計や、研究の効率化を図るラボオートメーションの導入などが計画されている。また、フロン対応やCO₂排出削減といった中期環境目標「環境目標2030」にも資する環境配慮型の建築が採用される。

 同社の奥田社長は「新研究棟の建設により、TOP I 2030のKey Driverである“RED SHIFT”の基盤を強化する。中分子を中心とした創薬研究の成果を速やかに臨床開発へとつなげる製法開発のプラットフォーム構築を推進し、革新的な医薬品を一日も早く患者さんに届けたい」とコメント。また、「医薬品製造に関わる機能の環境対応強化も重要であり、先進的かつ積極的に環境負荷の低減に努めていく」と述べた。

 なお、本件による2025年12月期連結業績予想への影響はないとしている。

<浮間事業所 概要>

所在地:東京都北区浮間5-5-1

敷地面積:69,065㎡

業務内容:医薬品原薬の製造プロセス研究、製剤・包装の製品設計、製法研究、設備設計、生産技術研究、構造・物性解析および品質試験法開発

<UKX研究棟 建設概要>

総投資額:800億円

着工:2026年5月

竣工:2028年8月

建築面積:5,047㎡

延床面積:27,136㎡

 ニュースリリース