荏原製作所は7月29日、日本下水道事業団からの発注を受け、名古屋市上下水道局が整備を進める広川ポンプ所(名古屋市中川区)に、大型排水ポンプ6台を納入したと発表した。都市部の浸水リスクが高まる中、同ポンプ所は名古屋駅周辺を含む地域の治水対策を担う中核施設として整備が進められており、今回のポンプ納入により浸水への安全性が一段と高まる。
近年、頻発・激甚化する豪雨を背景に、名古屋市では下水道施設の拡充を推進。目標として、1時間あたり63mmの降雨に対して浸水被害の解消、さらに100mm程度の豪雨でも床上浸水の防止を図る取り組みが進められている。広川ポンプ所はこうした施策の一環で、リニア中央新幹線開業を控える名古屋駅周辺地域の防災インフラとしての役割が期待される。
同施設は、地下約65メートルにおよぶ大深度のポンプ所で、名古屋中央雨水調整池と接続する構造を採用。荏原が設計・製作・据付を担ったポンプは、地下50メートルから地上の中川運河へ雨水を強力に排出する仕様で、高い排水能力を備える。
納入した機種の内訳は以下の通り。
• 立軸片吸込渦巻斜流ポンプ(1200VLYGE型):口径1200mm、能力200㎥/分、揚程54m、出力2600kW(3台)
• 立軸斜流ポンプ(800VZGE型):口径800mm、能力72.5㎥/分、揚程9.0m、出力170kW(2台)
• 立軸斜流ポンプ(500VZM型):口径500mm、能力29㎥/分、揚程9.3m、出力75kW(1台)
工事は2021年9月に着工し、2025年6月に完了した。
荏原は雨水排水機場分野において国内トップクラスの納入実績を有し、現在も新設・更新・改造を含め多数のプロジェクトを手掛けている。長期ビジョン「E-Vision2030」では、「地球にやさしい社会」「安心・安全な社会インフラ」「水や食料に困らない世界」を支えることを掲げ、持続可能な社会への貢献を目指している。
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