・滋賀工場に続く30億円規模の投資、2027年度稼働予定
第一工業製薬(京都市南区)は7月29日、リチウムイオン二次電池の負極材に使用される水系複合接着剤「エレクセルCRシリーズ」の需要拡大に対応するため、四日市工場霞地区(三重県四日市市)に新たな製造設備を建設すると発表した。投資額は約30億円で、2027年度の稼働を予定している。
同社は今年5月にも滋賀工場において同製品の生産能力増強を実施しており、今回の計画はそれに続く形となる。設備増強により製造能力を高めるとともに、安定供給体制の確立を図る。また今後の需要増加に備え、追加投資も視野に入れている。
「エレクセルCRシリーズ」は、電池の高容量化と長寿命化を実現する水系接着剤で、黒鉛を使わずシリコン系活物質100%の負極材にも適用可能。充放電時に膨張・収縮するシリコン系材料の特性に対応し、構造破壊を防ぐことで電池性能を維持できる点が評価され、すでに大手電池メーカーに採用されている。
今後は小型電子機器や電気自動車(EV)向けの市場展開も見据えており、同社は中期経営計画「SMART 2030」において、同製品を含む環境・エネルギー分野で2030年に売上高300億円、営業利益30億円を目指している。このうち、接着剤事業で1/3の成長を見込んでいる。