日立エナジー、独エーオンと最大7億ドルの変圧器供給契約を締結

・ドイツのエネルギー安全保障と電力網拡充を支援 製造能力強化で世界的な需給逼迫に対応

 日立エナジー(本社:スイス・チューリッヒ)は7月29日、ドイツの大手エネルギー企業エーオン(E.ON)と、最大7億ドル(約1,036億円、148円換算)規模の変圧器供給に関する包括契約を締結したと発表した。日立エナジーにとって同国における過去最大規模の契約であり、今後は個別受注に向けた協議を継続する。

 契約の対象は電力用および配電用変圧器で、今後急増が見込まれる電力需要に対応するための中核機器。ドイツでは、AIやデータセンターの拡大、電気自動車やヒートポンプ、水素関連産業の電化が進み、2024年に96TWhだった電力需要は、2035年には236TWhと2.5倍以上に拡大する見通しだ。

 今回の包括契約は、エーオンが進める電力網の拡張計画において、主要機器の安定調達を図る戦略的な取り組みの一環。エネルギー価格高騰への不安が社会課題となる中、エネルギーの安全保障やインフラのレジリエンス強化を目的としている。背景には、ドイツ新政権が打ち出した5,000億ユーロ規模のインフラ強化基金の創設がある。

 変圧器は送電・配電に欠かせないが、世界的に深刻な供給不足が続いている。日立エナジーは、90億ドル規模の設備投資計画によりグローバルでの製造能力を増強中で、ドイツはその中核拠点となる。2024年2月には、同国バート・ホンネフの変圧器工場の拡張を発表しており、ブリーロン、ロイクハイムを含む8拠点で約2,000名を雇用している。

 同国の連邦ネットワーク庁や電力会社、送電事業者は、クリーンエネルギー導入計画の遅延リスクや新規送電ルートの停滞を回避すべく、変圧器の早急な確保を求めている。日立エナジーは今回の契約に基づき、ドイツ国内での供給能力を確保し、電力インフラの高度化を加速させる構えだ。

 同社CEOのアンドレアス・シーレンベック氏は、「未来のエネルギーシステムの構築には、大胆な投資と技術革新が不可欠。当社はグローバルリーダーとしての責任のもと、持続可能で強じんな電力網の整備に貢献していきます」と述べた。

 日立エナジーは、世界で2百万台以上の配電用変圧器と数万台のその他変圧器を展開しており、HVDC(高電圧直流送電)分野では累計150GW以上を系統に連系。これは欧州の約3分の2の家庭に電力を供給できる規模に相当する。また、洋上風力発電向け送電システムでは54GW超を連系し、送電系統の自動化やデジタル化においても世界の大手電力会社の約半数を支援している。

■日立エナジーについて
 日立エナジーは、持続可能なエネルギー社会の実現に向け、送配電網技術やパワーエレクトロニクス、高電圧機器、自動化技術などを世界140カ国以上で提供。スイスに本社を構え、60カ国に展開し、従業員数は5万人超。年間売上は約2.4兆円にのぼる。

【関連リンク】
• https://www.hitachienergy.com/jp/ja
• https://www.linkedin.com/company/hitachienergy
• https://twitter.com/HitachiEnergy

■日立製作所について
 IT、OT、プロダクトを融合した社会イノベーション事業を通じて「ハーモナイズドソサエティ」の実現を目指す。2024年度の売上収益は9兆7,833億円、全世界で約28万人の従業員を擁する。

 ニュースリリース