ニデックは7月29日、家電産業事業本部(ACIM)がインド・マハラシュトラ州チャトラパティ・サンバジナガル(旧オーランガバード)に新たなコンプレッサー工場を建設する計画を発表した。冷蔵・冷凍ソリューション市場の急成長に対応する体制を整え、インド国内での存在感を一層強化する狙いだ。
新工場は2026年後半の稼働開始を予定しており、家庭用および商業用冷却システム向けのコンプレッサーと電子部品を年間600万台生産する。投資額は1億2,000万ドル超、建築面積は5万5,000㎡。稼働後は750~1,000人の直接雇用を創出し、地域経済と冷却技術の専門性向上にも貢献する。
■先端技術を採用した4シリーズを製造
工場では、ニデック傘下のエンブラコブランドを中心とした最新の冷却技術を搭載した4つのコンプレッサーシリーズを製造予定。
• 固定周波数モデル(ES・ELシリーズ):コンパクトで省エネ性に優れ、低騒音・高信頼性を実現。天然冷媒を使用し、家庭用および業務用に展開。
• 可変周波数モデル(FMS・VLTシリーズ):可変速制御で高効率と安定した温度管理を実現。小型ながら大型機と同等の冷却能力を持ち、家庭用・商業用双方に対応。
• 電子機器(インバーター):冷却需要に応じてコンプレッサーの回転数を制御し、エネルギー効率と運転性能を向上。
FMSおよびESシリーズは、すでにグローバル市場で高い評価を受けており、今回の新工場でも中核製品となる。
■ACIMの戦略拠点、輸出ハブとしても機能
ニデック・グローバル・アプライアンス社長のアルベルト・カスナティ氏は、「インド市場は経済成長と共に冷却需要が急速に伸びており、新工場は事業拡大の重要なマイルストーン」と位置づける。現地生産により市場ニーズへの迅速な対応が可能となり、将来的にはインドを輸出ハブとした国際展開の強化も視野に入れる。
■背景:ACIMとエンブラコの概要
ニデックの家電産業事業本部(ACIM)は、グローバル・アプライアンス(GA)と商業・産業(C&I)の2つのプラットフォームで構成され、全世界で約1万8,000人を擁する同社最大規模の事業部門。家庭用・商業用アプライアンス向けのモーターやコンプレッサー、凝縮器ユニット、電子駆動装置などを製造している。
傘下のエンブラコは1971年創業の冷却技術ブランドで、冷蔵・フードサービス・医療分野などでグローバルに製品を展開。環境配慮型で高効率なソリューションを武器に、競争力を維持している。
エンブラコ公式サイト:https://www.embraco.com/ja/
今回のインド工場建設は、同社のサステナブルかつグローバルな製造・供給体制のさらなる強化を象徴する取り組みといえる。