・堅調な受注増も採算性に課題 - ERP刷新など一時費用も影響
・4〜6月売上は前年並みの12億1,300万ユーロ、受注は6%増も利益率低下
Metso (メッツォ):2025年7月23日
フィンランドのメッツォ(Metso)は、2025年1月〜6月期の連結業績を発表した。全体として市場活動は堅調に推移し、前年同期比5%増の26億4,700万ユーロの受注高を確保した。一方で売上高は2%減の23億8,500万ユーロ、調整後EBITA(利払い・税引き・償却前利益)は10%減の3億6,400万ユーロにとどまり、採算性にやや課題を残した。
■第2四半期(4〜6月)の業績は以下の通り:
• 受注高:前年同期比6%増の12億3,400万ユーロ(為替一定ベースでは10%増)
• 売上高:前年並みの12億1,300万ユーロ
• 調整後EBITA:1億7,100万ユーロ(売上高比14.1%、前年は16.9%)
• 営業利益:1億7,300万ユーロ(同14.2%、前年は16.1%)
• 営業キャッシュフロー:1億4,700万ユーロ(前年は1億5,200万ユーロ)
部門別では、鉱物処理(Minerals)部門が堅調で、受注は7%増、売上は1%増。骨材処理(Aggregates)部門は受注5%増に対し、売上は3%減だった。特にサービス売上の構成比低下と一時的なコスト増が利益率を圧迫したという。
■ERP刷新完了、今後の利益貢献に期待
メッツォでは第2四半期に大規模なERP(基幹業務システム)刷新を完了。長期的には業務効率化による収益改善が期待されるが、現時点では一時費用が利益を圧迫した。タカルオマ社長は「健全な市場活動と強い受注案件に支えられた」と述べ、今後もキャッシュ創出力の改善に取り組む姿勢を強調した。
■積極的な事業強化策も展開
戦略的取り組みとして、第2四半期中に製鉄原料事業(Ferrous business)のSMSグループへの売却を決定し、同事業は非継続事業として扱われる。また、スイス・タワーミルズ・ミネラルズ(Swiss Tower Mills Minerals)の買収を4月に完了し、省エネ型粉砕ソリューション分野での地位を強化。さらに、7月にはミルライニング再利用事業を手掛けるTLソリューション社の買収契約を締結し、中国では新たなスクリーン製品事業の買収も完了させた。
新設投資としては、カナダ西部にサービスセンター、ルーマニアに選別プラントを建設予定で、いずれも顧客密着型のサービス強化を図る。
■市場見通しは「現状維持」
メッツォは、鉱物処理および骨材処理市場の活動水準が今後も「現状維持」との見通しを示した。関税などの地政学的リスクがグローバル経済や市場動向に影響を及ぼす可能性もあるが、現在のところ安定した需要が継続すると見ている。
■Metso (メッツォ)について
メッツォは、持続可能な技術と統合ソリューションを通じ、鉱物・骨材・金属精錬業界に向けたエネルギー・水使用効率の改善、環境負荷の低減、生産性向上を支援するグローバル企業。2024年末時点で世界約50カ国に1万7,000人の従業員を擁し、年間売上高は約49億ユーロにのぼる。フィンランド・エスポーに本社を構え、ナスダック・ヘルシンキに上場している。
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