・多様な設備接続とサーボデータ分析を実現
ファナックは7月22日、製造現場の業務改善を支援するデータ基盤「FIELD system Basic Package(FsBP)」について、新機能を追加し機能強化を実施したと発表した。今回のアップデートにより、工場内の様々な設備との接続性が向上し、ファナック製品との連携も一層強化された。
■データ基盤として好評を博すFSBP
FIELD system
Basic Packageは2023年より販売を開始し、顧客の継続的な業務改善を支援するデータ基盤として好評を得ている。製造現場における業務改善は「データ収集」「見える化」「分析」「改善」のプロセスで構成されるが、このためには様々な設備と接続可能で、データを一元的に収集できる土台が不可欠となる。
同システムは、工場の様々な設備や作業員の作業データを収集し、ITとOTを繋ぐことで工場のデジタル化目標達成を支援する。データの収集、保存、活用を分離した構造により、収集したデータを他のシステムに安全な状態でオープンに提供できる点が特徴だ。
■強化された4つの新機能
今回の機能強化では、以下の4つの新機能が追加された:
- サーボデータ連携機能
ファナックCNCのサーボデータ収集と、サーボデータ分析アプリとの連携が可能となった。これにより、サーボデータ波形の可視化や分析が実現され、AIサーボモニタでは機械の故障予兆を検知できる。複数台のCNCサーボデータを一元管理し、ワークIDや実行プログラム名などの他データと紐づけた管理も可能だ。 - CNCプログラム転送・マクロ変数API
ファナックCNCへのプログラム転送およびCNCマクロ変数の読み書きが可能となった。管理者による認可アカウントのみが実行可能で、FsBPと他システム(ファイル管理、生産管理)間でのより深いデータ連携を実現する。 - Modbus/TCP対応
工場内設備で広く利用されているModbus/TCPプロトコルに対応した。これにより、Modbus/TCP対応設備からのデータ収集や制御が可能となり、継続的なデータ収集と外部からの利用が実現される。 - 機械状態監視(ビジュアルアシスト)連携
ファナックCNCのオプション機能である機械状態監視機能(ビジュアルアシスト)との連携が可能となった。工作機械の操作履歴やアラーム発生時の機械稼働データと動画を対比させ、異常発生時の経過分析ができる。複数台の機械状態を一元管理し、監視精度の向上を図る。
■柔軟な導入形態を提供
FIELD system Basic Packageは、ハードウェア版とVM版の2つの形態で提供される。ハードウェア版「FIELD BASE Pro」は最大50台接続可能で、Intel Xeonプロセッサ4コア、メモリ16GB、SSD 1TBを搭載。即座に使用開始できる利便性を提供する。
VM版は顧客が保有するサーバに仮想マシンとして導入可能で、最大100台の接続に対応する。VMware ESXi上で動作し、顧客の既存IT環境への柔軟な統合を可能にする。
■多様な設備との接続性を実現
同システムは、ファナック製CNC(Series 16i/18i/21i/30i/0i-B以降)やロボット(R-30iB/R-30iB Mini/Mate制御装置)に加え、OPC UAやMTConnect、Modbus/TCPをサポートする他社製設備とも接続可能だ。最短1ms(ファナックCNCサーボデータ)の高速データ収集を実現し、リアルタイムでの製造状況把握を支援する。
収集したデータは、OPC UAやREST-API、CSVファイル出力により外部システムとの連携が可能で、表計算ソフト、BIツール、MES、ERPなど様々なシステムとの統合により、総合的な製造管理システムの構築を可能にする。
今回の機能強化により、FIELD system Basic Packageは製造現場のDX推進において、より包括的で柔軟なソリューションとして位置づけられることとなった。