鴻池組とポケット・クエリーズ、危険箇所の遠隔観察システムを実用化へ

・四足歩行ロボットでトンネル工事の安全性を革新

 建設大手の鴻池組(大阪市中央区)とロボット開発のポケット・クエリーズ(東京都新宿区)は7月7日、トンネル工事における作業員の安全確保を目的とした遠隔観察システムの実証試験を実施し、実用化に向けた成果を上げたと発表した。危険な切羽(きりは)箇所に作業員が立ち入ることなく、四足歩行ロボットによって状況把握が可能となる同システムは、建設現場の安全性と効率性を大幅に高めるものとして注目されている。

 実証試験では、高性能カメラを搭載した四足歩行ロボットがライントレース機能による自律走行でトンネル内を進み、切羽の画像を撮影。取得した映像は、人による直接観察と同等の精度で評価可能であることが確認された。従来、こうした観察作業は落石や崩落のリスクが伴う場所で実施されており、安全性の確保が大きな課題だった。

 今後は、取得画像をAIで自動評価する切羽評価システムの導入に加え、3D-LiDARを活用した自己位置推定機能の開発も進める計画。さらなる自律性と精度向上を図り、より高度なトンネル掘削支援を実現する構えだ。

 両社は、「トンネル工事の安全性向上と作業の効率化を両立し、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させていく」としており、本システムの現場導入に向けた取り組みを本格化させる。

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