ツムラ(東京都港区)は7月15日、医療用漢方薬の需要拡大を受け、茨城工場(茨城県阿見町)に造粒包装棟を新設するに伴い、6月30日に起工式を実施し、本格着工に入ったと発表した。竣工は2028年初頭、本格稼働は同年中を予定する。新棟の建設費は約415億円。
新設される造粒包装棟は、漢方エキス顆粒や分包品といった最終製品の製造工程を担う施設で、篩過、秤量、造粒、充填、包装などの一連の工程を自動化・省人化技術でカバーする。資材の自動供給や部品の自動洗浄装置を導入し、労働生産性の向上を図る。また建物には免震構造を採用し、大規模災害時の迅速な生産再開も可能とする。
建物は鉄骨造4階建てで、建築面積は約5,582㎡、延床面積は約16,406㎡。完成後の年間生産能力は顆粒約4,400トン、製品は約843万箱に達する見込み。
起工式にはツムラの杉井圭取締役Co-COOのほか、建設を担当する鹿島建設の押味至一会長、生産設備を担当する東レエンジニアリングの北野真也常務など関係者26名が出席した。
ツムラは2025年度より新たな3カ年の中期経営計画(第2期)を始動しており、漢方薬の需要拡大が続く中で安定供給体制の構築を進めている。杉井Co-COOは式典で「インフレや建設費高騰など厳しい環境だが、製薬企業としての供給責任を果たすべく増設を決断した」と述べた。
造粒包装棟の建設は、「グローバルレギュレーションへの対応と安心・安全な製造」「生産数量の確保と労働生産性の向上」「人と環境にやさしい製造棟」の3つをコンセプトに掲げる。高品質な製品を効率的に安定供給する「漢方のツムラ」にふさわしい拠点づくりを目指す。
ツムラの茨城工場は1983年に竣工。現在は主に少品種大量生産を担い、静岡工場(1964年竣工)は多品種少量生産を担っている。茨城工場の敷地面積は17万8,000㎡で、同社の国内主力製造拠点の一つとなっている。
<計画概要>
• 施設名称:株式会社ツムラ茨城工場 造粒包装棟
• 所在地:茨城県稲敷郡阿見町吉原3586
• 建設・施工会社:
・建築・UTT:鹿島建設株式会社
・生産設備:東レエンジニアリング株式会社
• 機能:漢方エキス顆粒および最終製品(分包品)の生産
• 主な工程:篩過 → 秤量 → 混合・造粒 → 包装・表示
• 特徴:包装資材の自動供給、自動部品洗浄装置導入による省人化
• 構造:鉄骨造、地上4階建て
• 建設費:約415億円
• 工期:2025年7月1日~2027年8月31日
• 竣工予定:2028年 第1四半期
• 稼働開始:2028年(本格稼働予定)
• 生産能力:
・漢方エキス顆粒:約4,400トン/年
・最終製品(分包品):約843万箱/年
• 建築面積/延床面積:5,582.18㎡/16,405.93㎡
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