ロンドン、英国の貿易救済機関である貿易救済庁(TRA:Trade Remedies Authority)は7月11日、中国から輸入される油圧ショベルに対して導入した反ダンピング措置について、見直し手続き(reconsideration)に入ったと発表した。これは、中国の建機大手柳工(LiuGong)およびキャタピラー・グループ(Caterpillar Group )からの正式な申立てを受けた対応で、世界貿易機関(WTO)のルールに則り、自由で公正な貿易を維持するための再検討手続きの一環となる。
TRAによると、柳工はバッテリー電動式ショベルについては課税対象から除外すべきと主張。これらの機種を今回の「対象製品」定義から外し、関連する全ての関税の適用除外を求めている。
一方、キャタピラーは、前回の調査で自社に対して算出された個別のダンピングマージンに異議を唱えており、損害幅、ダンピング幅、因果関係、そして措置の形態についての再評価を求めている。
TRAは、両社の主張を単一の再調査案件として取り扱い、英国の規制制度およびWTOの義務に基づき、改めて措置の妥当性を検討する。必要に応じて、当初の勧告とは異なる結論が導き出される可能性もある。
最終的な再評価の結果は、ビジネス・貿易相に報告され、措置の維持か変更かが決定される見通しだ。
■元の反ダンピング措置について
この措置は、英国国内の油圧ショベルメーカーの申立てを受けてTRAが実施した調査に基づくもの。調査では、中国からの該当製品が不当に安価で英国市場に投入されていると判断され、2024年5月14日から18.81〜40.08%の関税が段階的に課されている。今回の再評価期間中も、これらの関税措置は引き続き有効とされる。
■TRAとは
貿易救済庁(TRA:Trade Remedies Authority)は、英国における不公正な輸入や予期せぬ輸入急増に対する貿易救済措置の必要性を調査する独立機関。再検討制度は、納税・給付等の行政判断に対する再審査請求制度の一環で、申請者は①主張の根拠、②求める結果、③再審申請の適格性を明確に示す必要がある。
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