・マレーシア・サラワク州で「C4」プロジェクトが本格稼働へ
三菱化工機(神奈川県川崎市)は7月16日、バイオエコノミー推進を掲げる「ちとせグループ」がマレーシア・サラワク州に建設した世界最大級の微細藻類生産施設「CHITOSE Carbon Capture Central(C4)」向けに、成分抽出・分離試験用設備一式を受注したと発表した。今回の設備には、小型のろ過乾燥機も含まれる。
「C4」は、ちとせグループ中核のちとせ研究所が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として推進する5ヘクタール規模の藻類生産拠点。フラットパネル型の培養設備を用いた効率的な大規模生産が特徴で、今後の微細藻類産業拡大における中核的な実証拠点とされている。
三菱化工機は1970年代より海外プラント建設を手がけており、マレーシアでも多数の施工実績を持つ。1990年代にはクロレラ製造設備を東南アジアで建設するなど、藻類関連設備でも高いノウハウを有する。2008年以降は藻類バイオ燃料の研究プロジェクトに参画し、2020年には自社内にガラス管式フォトバイオリアクター(PBR)を設置。都市型バイオマス生産装置として製品化し、グループ会社を通じて販売している。
また、同社はちとせグループが主宰する藻類産業の産業横断型プロジェクト「MATSURI(まつり)」にも2022年に参画。翌2023年には出資も行い、共同で微細藻類の産業化を進めている。「MATSURI」では、現在のC4を皮切りに2030年までに2,000ヘクタール、2050年には1,000万ヘクタールへの拡大を目指している。
今回の受注は、こうした長年の藻類技術への取り組みと、海外プラント建設における実績・知見が評価されたもの。三菱化工機は今後、化成品、化粧品、燃料、飼料、食品など多様な分野に応用可能な微細藻類の新たなソリューション開発を進め、持続可能な社会の構築に貢献していくとしている。