スチールプランテックとTMEIC、新電源システム「CleanArc」を国内電気炉メーカーから連続受注

・フリッカや高調波を抑制、省エネ補助金対象で導入負担も軽減

 スチールプランテック(SPCO、横浜市西区)とTMEIC(東京都中央区)は、製鋼用アーク炉向けの新電源システム「CleanArc(クリーンアーク)」を国内の電気炉メーカーより受注したと発表した。システムは38.8MVA級の3セット構成で、2027年度中の稼働を予定している。

 今回の案件は、2025年3月に採択された「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(工場・事業場型)」の対象設備にも選定されており、今年2月の初号機受注に続く補助金適用案件として、電気炉メーカーの導入費用軽減に貢献する。

 鉄鋼業界では、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、従来の高炉に比べCO₂排出量を大幅に抑えられる電気炉の導入が進む一方で、電力系統へのフリッカ(電圧変動)や高調波の影響、エネルギーコストの上昇といった課題が顕在化している。

 「CleanArc」は、SPCOがこれまで世界150基以上の納入実績で培った電気炉技術と、TMEICのパワーエレクトロニクス技術を融合させた次世代電源システム。フリッカ補償装置や高調波フィルターといった追加設備が不要で、電力品質の安定化と省エネルギー化を同時に実現する。IEGT(電子注入促進型絶縁ゲートトランジスタ)素子を用いたコンバータとインバータ構成により、大容量かつ高効率な電力供給を可能にしている。

 受注先の国内電気炉メーカーでは、電力会社からのフリッカ抑制要求への対応や、操業時の電力消費削減の必要性から、既設炉の電源システム更新を検討。「CleanArc」は、こうしたニーズを満たす高性能な国産製品として評価され、信頼性や保守性に加え、補助金によるコスト低減の観点からも導入が決定された。

■CleanArc導入による主なメリットは以下の5点:
1. フリッカ抑制(補償装置不要)
2. 高調波の大幅抑制(フィルター不要)
3. 電力系統への負荷低減(力率やノッチング問題を回避)
4. 国内設置要件への適合(屋外設置や最小限の休止期間での更新が可能)
5. 生産性向上(投入電力効率の向上、溶解時間や電力・電極原単位の削減)

 両社は今後もCleanArcの普及を通じて、電気炉操業の課題解決を図り、鉄鋼業界の脱炭素化とカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく方針。

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