IHIとオランダのタンク貯蔵大手Royal Vopak(ロイヤル・ヴォパック)は7月11日、日本国内におけるアンモニアターミナルの開発・運営に向けた合弁事業の立ち上げを視野に、共同開発契約を締結したと発表した。2030年度の操業開始を目標に、安全かつ効率的なアンモニアの受け入れ・貯蔵体制の構築と、輸送インフラの整備を進める。
計画されているアンモニアターミナルは、主に海外から輸入されるアンモニアを国内で受け入れ、安定供給につなげる拠点として機能する。アンモニアは発電や産業用途での燃料・原料として期待されており、脱炭素社会の実現に向けた重要なエネルギーキャリアと位置付けられている。
今回のプロジェクトでは、IHIが日本国内で多数のアンモニア貯蔵タンクの実績を持つ企業として、その設計・製造・運営ノウハウを提供。一方、Vopakは世界6か所にアンモニア貯蔵施設を有し、ターミナルの設計・管理運営における国際的な実績と知見を活かす。
両社は日本国内における広域的なアンモニアサプライチェーンの構築と、多様な用途展開を視野に連携を強化。海上輸送のハブ機能を担うターミナルを活用し、効率的な供給体制の確立を目指す。
IHI執行役員でアンモニアバリューチェーンプロジェクト部長を務める山本建介氏は、「Vopakとのパートナーシップのもと、日本でのアンモニアインフラ整備を新たなステージへと進められることを大変嬉しく思います。両社の技術・ノウハウを活かし、安全かつ持続可能なエネルギー社会の実現に貢献していきます」とコメント。
また、Vopak日本法人のラース・シャウマン カントリーディレクターは、「Vopakの成長戦略の柱は、エネルギー転換を支えるインフラ構築にあります。IHIとの協業を通じて、日本市場に貢献できることを楽しみにしています」と述べた。
■株式会社IHIについて
1853年創業の日本初の近代造船所を起源とする総合重機メーカー。資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の4分野を柱に多様な事業を展開。現在はアンモニア燃焼技術や燃料アンモニアの供給体制構築など、カーボンフリーなエネルギー技術の実用化を推進している。
■Royal Vopak(ロイヤル・ヴォパック)について
400年以上の歴史を持つオランダ・ロッテルダム本社のグローバル物流企業。世界各地の港湾で液体・ガス・化学品などの貯蔵インフラを提供しており、エネルギー転換を支える水素やアンモニア、CO₂などの次世代燃料関連インフラ開発にも注力している。ユーロネクスト・アムステルダム上場。
本プロジェクトは、脱炭素社会への移行を支える国内アンモニアインフラ整備の重要な一歩として、今後の展開が注目される。