・中期経営計画の一環として実施、みずほ信託銀行が信託先に
工業用ミシン大手のJUKIは7月10日、本社社屋(東京都多摩市)をセール・アンド・リースバック方式で売却すると発表した。同日開催の取締役会で決議した。同社は2029年12月期を最終年度とする5か年中期経営計画「Building Sustainable JUKI」を推進中で、収益基盤の強化と財務健全性の確保を両立させる財務規律の強化に取り組んでいる。今回の取引は、在庫削減や売上債権の回収促進に続く手元資金充実策の一環として実施される。
売却対象となるのは、多摩市鶴牧二丁目にある本社の土地(11,764.61㎡)と建物(33,264.88㎡)。現在は本社事務所と研究施設として使用されている。取引は信託スキームを活用し、まずJUKIが保有する不動産をみずほ信託銀行に信託設定した上で、信託受益権を第三者に譲渡する。その後、JUKIは信託受託者から物件を賃借し、賃料を支払って引き続き使用する。
信託先および賃貸借契約締結先となるみずほ信託銀行は、みずほフィナンシャルグループの100%子会社。2025年3月末時点で純資産6,243億円、総資産4兆5,624億円を有する。同行はJUKI株式を40万1,000株保有しており、両社間では資金借入、年金運用委託、証券代行業務などの取引実績がある。
帳簿価額、譲渡価額、賃借料については、譲渡先の意向により開示を差し控えるとしているが、市場価格を反映した適正な価格での譲渡になるとしている。最終的な信託受益権の譲渡先については、守秘義務により詳細は公表されていないが、JUKIとの資本・人的・取引関係はなく、属性に問題はないとしている。
契約締結および物件引渡しは7月11日に実施される予定。固定資産譲渡による業績への影響は軽微としている。JUKIは今回の取引により手元資金を確保し、財務基盤の安定化に向けた取り組みを継続する方針。