・通期予想は11.0%減の2,112億円、純利益11.2%減の232億円に下方修正
竹内製作所が7月10日に発表した2026年2月期第1四半期(2025年3〜5月)連結業績によると、販売台数が前年同期を下回ったことで売上高は506億2千万円(前年同期比8.3%減)となった。利益面は、未実現利益を考慮した為替レートが円安となったことで売上高の減収影響の一部を吸収したものの、値引き等の減益要因により、営業利益は109億9千8百万円(同1.1%減)、経常利益は、為替差益を6億7千1百万円計上した前年同期に対して、当期は為替差損を7億7千2百万円計上したこと等により、104億1千3百万円(同11.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、税金費用を29億9千5百万円計上したことにより、74億1千8百万円(同12.4%減)となった。
同社グループは第四次中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)において、「Building Excellence ハイクオリティ、ハイパフォーマンス、ハイエンゲージメントで連結売上高3,000億円にチャレンジする。」をスローガンに掲げ、①販売網の拡充とアフターパーツの販売拡大、②生産機種の再編成とクローラーローダー新工場の建設、③電池式ミニショベルのラインナップ拡充、④人的資本への投資、⑤サステナビリティ経営の推進を重点施策として取り組んでいる。
2025年3〜5月期における販売台数は、主に北米市場での製品販売が減速し、前年同期を下回った。北米では、米国新大統領の関税及び通商政策による先行き不透明感、不確実性の高まりにより、引き続き製品購入時期を見合わせる動きがあり、ショベル、クローラーローダーともに前年同期比で販売台数が大きく落ち込んだ。欧州では、低調な経済環境が継続しているものの、低迷していた製品需要は底打ちし、回復の兆しが見られ、ショベル、クローラーローダーともに前年同期比で販売台数は増加した。新しく注力地域に位置付けているアジア・オセアニアでは、主にオーストラリアの新規ディストリビューターでの在庫補充により、販売台数は前年同期を上回った。
受注高は567億4千万円(前年同期比7.8%減)となった。これは主に、英国の販売子会社、及び欧州ディストリビューターの受注が回復したこと、並びに米国の大手レンタル会社からまとまった受注があったことで、受注台数は前年同期を上回ったものの、円高影響により受注高が押し下げられたことによるもの。受注残高は、前年度末に比べ61億2千万円増加し、845億3千7百万円となった。
■セグメント別経営成績
(日本) 日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められている。欧州では、低調な経済環境が継続しているものの、低迷していた製品需要は底打ちし、回復の兆しが見られた。このような環境下、欧州ディストリビューター向けの販売台数は前年同期を上回り、売上高は171億4千3百万円(前年同期比8.4%増)となった。
セグメント利益は、生産調整により主に米国子会社向けの売上高が減少したことや円高影響等により、78億7千9百万円(同30.3%減)となった。
(米国) 米国セグメントでは、住宅ローン金利と住宅価格の高止まりにより新築住宅の着工件数は調整局面が継続していることに加え、米国新大統領の関税及び通商政策による先行き不透明感、不確実性の高まりにより、引き続き投資に対して慎重な姿勢が見られた。このような環境下、製品購入時期を見合わせる動きがあり、前年同期比で販売台数が減少したこと等により、売上高は268億6千6百万円(前年同期比17.0%減)となり、本社からの仕切り価格の値上げや、値引き等の減益要因もあり、セグメント利益は22億3千4百万円(同42.3%減)となった。
(英国) 英国セグメントでは、低調な経済環境が継続していたが、低迷していた製品需要が底打ちし、回復の傾向が見られた。このような環境下、前年に抑制されていた当社製品の入れ替え投資が回復し始めたことで、前年同期比で販売台数が増加したこと等により、売上高は42億8百万円(前年同期比13.4%増)となり、本社からの仕切り価格の値下げ等によりセグメント利益は2億9千5百万円(前年同期は9百万円)となった。
(フランス) フランスセグメントでは、不安定な政治状況や低調な経済環境の継続が建設機械のみならず全般において投資意欲を減退させている。この結果、前年同期比で製品の販売台数が減少したことにより、売上高は24億円(前年同期比26.5%減)となり、本社からの仕切り価格の値上げや、値引き等の減益要因もあり、セグメント利益は1億5千7百万円(同53.0%減)となった。
(中国) 中国セグメントは、日本セグメントに向けた建設機械の部品の製造・販売が事業の大半であり、外部顧客への売上高は1百万円(前年同期比91.9%減)となり、セグメント利益は7千1百万円(同3.2%減)となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2026年2月期の通期の連結業績予想については、2025年4月11日に公表した業績予想を下記に修正した。
売上高2,112億円(前年度比1.0%減)、営業利益336億円(同9.5%減)、経常利益328億円(同7.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益232億円 (同11.2%減)。
修正理由:北米においては、第1四半期において米国新大統領の関税及び通商政策による先行き不透明感、不確実性の高まりにより、引き続き製品購入時期を見合わせる動きがあり、ショベル、クローラーローダーともに販売台数が大きく落ち込んだ。第2四半期(6~8月)ではレンタル会社向けが好調で米国の販売台数は上向いているが、下期にかけて徐々に低下し、通期では前回予想を下回る見込み。
欧州は、長引くマクロ経済の冷え込みを背景とした投資マインドの低下により、主力製品であるショベル販売が前期に低迷し、 この状況は当期も継続すると予想していた。フランスでの販売台数は前回予想を大きく下回ると見込むものの、英国及びその他の欧州主要国では低迷していた製品需要が底打ちし、フランスでの落ち込みを補填できる見込みであり、欧州全体の販売台数は前回予想並みとなる見込み。
注力市場と位置付けるアジア・オセアニアは、オーストラリアの新規ディストリビューターでの販売・サービストレーニング等の準備期間が想定より長期化していること、及びオーストラリア市場が低調であること等により、 販売台数は前回予想を大きく下回る見込み。
この状況を踏まえて連結業績予想を見直した結果、売上高、利益面ともに前回発表予想を下回る見込み。これは主に、米国関税政策による 43 億7千万円(相互関税の 90 日間の停止期間中は税率 10%、 それ以降は税率 24%で算定) のコスト増、 販売台数の下方修正、 及び米ドルの前提為替レートを円高に見直したこと等によるもの。なお、各段階利益の売上高比率が下期において悪化するのは、米国関税政策によるコスト増のほとんどが下期で発生すること等によるもの。
業績予想における第2四半期以降の為替レートは、1米ドル=140円、1英ポンド=190円、1ユーロ=160円、1人民元=19.50円を前提としている。
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