技研製作所、25年8月期第3四半期売上は21.3%減の約174億円、25年8月期予想261億円(11.5%減)は変えず

 技研製作所が7月10日に発表した2025年8月期第3四半期(2024年9月~25年5月)連結業績によると、主として国内における製品販売が減少したことから、売上高は17,429百万円(前年同期比21.3%減)となった。利益面は、利益率の高い 建設機械セグメントの売上減が大きかったことから、営業利益は1,399百万円(同50.7%減)、経常利益は1,438 百万円(同54.1%減)となった。

 また、7月2日に公表した元連結子会社であるJ Steel Group Pty Limitedとの和解に伴い、特別損失として訴訟関連損失301百万円および貸倒引当金繰入額511百万 円を計上したことから、親会社株主に帰属する四半期純利益は451百万円(同79.7%減)となった。

 技研製作所2025年8月期第3四半期データ

 同社グループは、当期を初年度とする新たな中期経営計画2027(2025年8月期-2027年8月期)を発表した。成長のための4つの基本戦略を基盤に、グローバルな技術提案や工法普及を強化するとともに、新工法・新製品の開発と市場投入のスピードアップを推進し、企業価値の向上を目指している。

 第3四半期連結累計期間における国内の事業環境は、底堅い公共投資および民間設備投資の持ち直しにより、建設投資全体は堅調に推移した。一方、同社事業においては、建設コストの上昇や深刻な技能労働者不足の影響を受け、ユーザーの設備投資は依然として慎重な傾向が続いた。

 国内における工法技術提案活動では、災害復旧・復興事業や防災・減災対策、国土強靭化事業、インフラ老朽化に伴う更新・機能強化事業等を中心にインプラント工法※1の普及に取り組んだ。その結果、公共工事では、能登半島地震・豪雨災害で被災した岸壁の復旧工事、埠頭の耐震補強、高速道路のランプ工事で採用される等、採用案件数は順調に推移した。

 国内の工法採用を加速させる取り組みとして、3月には石川県金沢市の能登復興支援室と愛知県名古屋市の中部営業所をそれぞれ増員した。能登復興支援室では、工法技術提案に加え、工事計画の立案や進捗管理等にも対応できる体制を整え、管轄エリアを北信越地方全域に広げている。さらに4月からは、従来関西営業所(大阪府)が管轄していた四国エリアについて、高知本社に専任担当者を新たに常駐させ、地域ニーズに応じた工法営業を一層強化した。

 製品関連では、鋼矢板を硬質地盤に圧入する際のオーガ装置の掘削能力、施工能率を向上させる「フライホイール式パイルオーガ」が、国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)の「令和7年度 推奨技術※2」および「震災復旧・復興支援技術」に選定された。本製品は2021年の市場投入以降、硬質地盤の適用範囲を広げるとともに、生産性を向上させる画期的な技術として評価を受けており、本製品を標準搭載した「サイレントパイラーF112」等とともに販売実績を伸ばしている。今回の選定を追い風とし、さらにニーズの掘り起こしを促進していく。

 海外展開では、これまでの機械販売を中心としたビジネスモデルを見直し、現地パートナーとの協働体制を強化すべくユーザー向け総合支援サービス「GTOSS※3」の定着を図っている。GTOSS会員となったパートナー企業とともに、工法普及活動を実施することで、市場拡大を加速させていく。

 アジア地域では、GTOSS ASIAの会員であるシンガポールのユーザーに3台目のジャイロパイラーを納入しました。現地ではジャイロプレス工法が採用された2件目の工事が5月に完工、3件目の工事も順調に進捗しており、現場見学会の開催等を通じて同工法の市場拡大を推進している。

 中国においては、販売代理店兼指定工場である河北省の大手建機販売企業「石家庄天遠科技集団有限公司(天遠社)」にサイレントパイラーを3台納入した。2020年よりスタートした同社との連携により、現地の防災・減災対策やインフラ再生工事等において圧入工法のニーズは着実に高まっており、建設会社へのレンタルを通じて製品販売につなげていく。

 ヨーロッパ地域では、同社製品を30年以上使用しているドイツのユーザーがGTOSS EUROPEに加入し、会員は4社に増えた。同社の入会により、GTOSS EUROPEのネットワークは、中期経営計画でヨーロッパ地域の優先注力地域に位置付けたオランダ、ドイツ、イギリス、イタリアへと広がり、現地パートナーとの協働体制は着実に強化が進んでいる。

 北米地域では、GTOSS North Americaの会員である米国のユーザーと営業活動を行った結果、本ユーザーが同国初となるジャイロプレス工法の採用案件の受注に至った。同社グループは引き続き、本ユーザーと連携を密にして確実に工事を成功に導き、施工実績を同工法の市場拡大につなげていく。

■セグメント業績

①建設機械事業

 国内では、建設コストの上昇や技能労働者不足がユーザーの設備投資マインドを冷やし、製品販売に大きく影響した。海外では、前期は上期に製品売上が高水準だったのに対し、今期は第4四半期に売上が集中する計画であること、また一部製品販売の第4四半期への期ずれにより減収となった。

 このような状況のもと、当セグメントの売上高は11,370百万円(前年同四半期比25.0%減)、営業利益は2,188百万円(同38.1%減)となった。

②圧入工事事業

 国内では、工法採用が堅実に推移する中、ダムの仮設擁壁構築(長崎県)、陥没事故復旧・ライフライン再構築工事(埼玉県)、発電所の防潮堤基礎構築(北海道)、発電所の防水壁構築(岐阜県)、エコサイクル設置工事(兵庫県)等において工事が順調に進捗したが、前年の第3四半期累計期間における高水準な工事売上の反動減および開発型案件が第4四半期に集中する計画であること、一部受注案件の着工遅れにより減収となった。一方、海外ではドイツにてオペレーター付きレンタルが順調に進捗した。

 この結果、当セグメントの売上高は6,058百万円(前年同四半期比13.2%減)、営業利益は915百万円(同18.7%減)となった。

※1 一本一本が高い剛性と品質を有した杭材(許容構造部材)を地中深く圧入し、地震や津波、洪水等の外力に粘り強く耐える「インプラント構造物」を構築する工法。

※2 NETISの登録技術のうち、実際に直轄工事等で活用され、効果が審査されたものは「事後評価実施済み技術」とされる。その中で、公共工事等に関する技術水準を一層高めると期待される画期的な新技術が「推奨技術」に選定される。推奨技術は、通常のNETIS登録技術よりも工事成績評定や総合評価方式における加点数がアップするため、活用促進が期待できる。

※3 会員ユーザーに対し、製品に加えて技術サービス等のノウハウを提供して現場の生産性向上を図る総合支援サービス。

■2025年8月期の見通し 

 通期2025年8月期の業績については、2025年7月2日公表予想(下記)に変更はない。 

 売上高26,100百万円(前期比11.5%減)、営業利益2,300百万円(同30.8%減)、経常利益2,450百万円(同31.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,260百万円(同46.3%減)。

 技研製作所の2025年8月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料