川崎重工、台湾で初の内部循環流動床ボイラを受注、ASR活用のサーマルリサイクル発電に対応

 川崎重工業は7月9日、台湾のエンジニアリング企業・富台エンジニアリング(本社:台北市)から、内部循環流動床ボイラ(KCFB®)を初めて台湾市場で受注したと発表した。納入先は、高雄を拠点に廃棄物処理などを手がける銘福集団。主燃料に自動車破砕残渣(ASR)を用い、廃プラスチックや廃布との混焼によるサーマルリサイクル発電を行う施設に向けたもので、2026年12月の出荷を予定している。

 ASRは塩素分を多く含むことから腐食性が高く、燃料としての活用が難しいとされていた。川崎重工のKCFB®は、こうした課題に対応しつつ、毎時34トンの高温・高圧蒸気を供給。安定した燃焼と高効率の熱回収を可能とする。

 同社のKCFB®は、燃焼ゾーン(燃焼セル)と熱回収ゾーン(収熱セル)を二重仕切壁で分離。収熱セル内に設けた伝熱管(層内蒸発器管・過熱器管)により層温度を最適に制御でき、木くず、スラッジ、廃プラスチックなど多様な廃棄物にも対応する。また、腐食性ガスの侵入を防ぎ、設備の長寿命化を図っている。

 今回の受注は、同社が国内外で積み重ねたKCFB®の稼働実績と技術力、安定運転への信頼性が評価された結果だという。

 台湾では2050年ネットゼロ排出を目指す中、非化石燃料であるASRやバイオマスを活用した発電が促進されており、政府による各種優遇制度も整備されつつある。川崎重工は今後、同国を含む国内外でKCFB®のさらなる営業展開を進めていく方針。

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