富士フイルムビジネスイノベーション、フィリピンに再生機製造拠点を開設

・アジア・パシフィック地域の資源循環を強化、2026年8月稼働開始

 富士フイルムビジネスイノベーション(東京都港区)は7月8日、アジア・パシフィック地域における資源循環の取り組みを強化するため、フィリピン・ラグナ州に再生機の製造拠点「Circular Manufacturing Center(サーキュラー・マニュファクチャリング・センター、CMC)」を開設すると発表した。稼働開始は2026年8月を予定している。

■地理的優位性を活かした戦略的拠点
 新たな製造拠点は、同社グループのイメージング機器製造拠点であるFUJIFILM Optics Philippines Inc.(FOPH)の敷地内に設置される。フィリピンはアジア・パシフィック地域の中心に位置し、物流や供給網の観点から地理的優位性を有しており、これがCMC開設の重要な判断要素となった。

■高品質な再生機の製造プロセス
 CMCでは、アジア・パシフィック地域で回収される使用済みの複合機を部品レベルまで分解・清掃を実施。厳しい品質基準を満たす部品だけを製造ラインに戻し、必要な部品は交換したうえで、新造機と同様の製造プロセスで組み立てを行う。この結果、新品と同等の品質を保証した再生機を製造することが可能となり、部品リユース率は最大84%(重量比)を実現している。
 再生機は、印刷枚数などの使用履歴の情報を初期化したうえで、製造年月、商品名、商品コード、シリアル番号を新たに付与した商品として提供される。

■既存技術力と人材の活用
 FOPHは、デジタルカメラ用交換レンズなどの精密機器の組み立てを通じて培った高度な製造技術を有しており、再生機の製造ラインの立ち上げに適した環境が整っている。同拠点には精密機器の製造に従事してきた多数の技術者や製造スタッフが在籍しており、これまでに培ってきた組み立て技術や品質管理の知見を再生機製造に応用する。
 今回の再生機製造拠点の立ち上げにあたっては、製造ラインの中核を担っている人材の一部をコアメンバーとして登用し、アジア・パシフィック地域での資源循環の促進に貢献するものづくり人材の育成にもつなげていく方針だ。

■長期的な環境への取り組み
 同社は1995年に全社リサイクル方針「限りなく『廃棄ゼロ』を目指し、資源の再活用を促進する」を策定し、商品の企画・開発・製造から廃棄に至るまでのライフサイクル全体を視野に入れた循環型生産システム「クローズド・ループ・システム」を構築してきた。
 これまでも世界各地に資源循環拠点を展開しており、2008年には中国・蘇州にFUJIFILM Eco-Manufacturing (Suzhou) Corp.を、2024年には欧州での資源循環を促進する製造拠点となるCMCをオランダに設立している。
 今回のフィリピン拠点の開設により、ワールドワイドでの生産体制の強化とともに、資源循環の推進、新規資源投入量およびCO2排出量の削減を一層加速させる狙いだ。

<拠点概要>
事業内容:アジア・パシフィック地域で回収された使用済みの複合機を分解、清掃し、必要な部品交換を行い、新造機と同等の品質保証をした再生機の製造
所在地:107 Prosperity Ave. Carmelray International Business Park-SEZ, Canlubang, Calamba City 4028 Laguna
専有面積:約500㎡
従業員数:50名(予定)
工事開始日:2025年7月
稼働開始日:2026年8月(予定)

 同社は今後も、より持続可能な社会の構築に貢献する企業を目指し、ワールドワイドに展開する各拠点間の連携を通じて、環境負荷の低減に向けた取り組みを積極的に拡大していく方針を示している。

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