北欧デザインの代名詞ともいえるデンマークの高級ソファブランド「eilersen(アイラーセン)」が、北海道旭川市に新たな製造工場を設立する。日本での総代理店を務めるアクタス(東京都新宿区)が7月7日に発表した。操業開始は2026年夏を予定しており、今後の事業拡大と高品質ソファに対する需要の高まりに対応する戦略的な一手と位置づける。
1895年に創業したeilersenは、もともとハンティング用馬車の製造に端を発し、現在ではクラフツマンシップと快適性を兼ね備えたソファで知られる世界的ブランドに成長。日本では30年以上にわたりアクタスとのパートナーシップを通じて展開されてきた。
工場の建設地に旭川市が選ばれた背景には、木工産業の盛んな地域であることに加え、高い技術力を有する職人が多く、次世代の人材育成にも積極的な地域特性がある。eilersenは、2025年2月に旭川市内に「Eilersen Japan合同会社」を設立済みで、地元の産業基盤への貢献も視野に入れる。
新工場は旧千代ヶ丘小中学校の跡地に建設される。旭川空港に隣接した利便性の高い立地で、敷地面積は約28,300平方メートル。既存の校舎や体育館を活用しつつ、将来的には新棟の建設も計画している。初期の施設改修には数億円規模の投資を見込んでおり、2~3年で約100人の雇用を創出する見込み。
eilersen創業家4代目で現トップのニールス・ユール・アイラーセン氏は、「創業130周年を迎える節目に、日本に製造拠点を構えることは大きな一歩。日本市場は極めて重要な位置を占めており、高品質なソファをより身近にお届けできることを嬉しく思う」とコメント。自らのものづくりへの情熱を「お客様一人ひとりのためにハンドメイドで特別なソファを作る」と表現し、品質とクラフツマンシップへの強いこだわりを示した。
アクタスは1969年の創業以来、欧州モダンインテリアの輸入・販売を手がけ、ライフスタイル全般を提案する独自のポジションを築いてきた。サステナブルなサプライチェーンの構築や循環型経済の推進にも取り組んでおり、今回のeilersen工場設立も、その企業理念に通じるプロジェクトといえる。
今回の動きは、日本国内での安定供給体制を整えるとともに、地方創生や雇用創出の観点からも注目される。北欧のクラフトと日本の技術が融合する、新たな家具づくりの拠点が旭川に誕生しようとしている。